2021年12月7日火曜日

文字だとちょっと恐い人

文字だとちょっと恐い人っていますよね。

メールとか、何かの書き込みとかで。

恐いというか、素っ気なくて、文字から表情が読めない人。


普段から物静かなタイプの人だったら、その物静かな感じを頭に浮かべられるので、まあ大丈夫です。

これが、普段は底抜けに明るくて、この人の声、笑い声しか思い出せない、みたいな人が、こちらから


「〇日、〇〇の件でよろしくお願いします!早めに行って、先に準備してますから、〇〇さんはゆっくり来てもらえば大丈夫ですからね~(^-^)」


て送ったメールに、


「はい」


て返ってきたりすると、画面の向こうの表情が想像できなくて、ドキドキします。


で、〇日に実際お会いすると、やっぱりいつもどおり「ダハハハハ!」て笑ってくれるので、安心します。


一回不安になって、ホッとする。また落とされて、上げられる。


これを繰り返していると、二人の関係性がだんだん強固になっていくんでしょうか。

いくんでしょうねぇ。


青野

2021年11月5日金曜日

「正論は人を傷つけることがある」

私の楽しみの一つに、連ドラをみることがあります。

毎週録画を設定しておき週末にまとめてみます。


そんな中、先日みたドラマで、俳優の古田新太さんの台詞が心にとまりました。


「正論は人を傷つけることがある」


お説教をしたくなるとき、真剣に伝えようと力が入ります。ただ、それを聞く人にとっては、正しいことを言われているので反論できない、だからこそ「・・・っう」っとなってしまい、苦しい思いをします。


遺産分割調停の場でこんなやりとりがあったら・・・

長男が親のお金を使い込んでいることが判明した。

長女は長男に「なんてばかなことをしたの」と怒りまくる。

長男は黙ったまま長女を睨みつける。


みなさんなら、なんと声をかけますか。


佐藤 麻妃

2021年10月5日火曜日

読んだ本の紹介

 「最近読んだ本について紹介せよ。」というテーマを与えられたので、恥ずかしながら、それに従い、私が読んだ本(最近読み返したものを含む。)を思いつくまま紹介しようと思う。

 が、本題の前に、最近の会務の一部と併せて裁判外紛争解決手続について触れることにする。


1 決済手段としての暗号資産に魅力を感じて

 筆者は、最近10年間ほど、縁あって資金決済に関する法律、その中でも特に前払式支払手段と暗号資産(昨年までは仮想通貨と呼称されていた。)について、主に消費者の契約トラブルという観点から講義をしている。決済手段、特に現金決済や銀行振込以外の決済手段が多様化している一方で、暗号資産については、その本来の存在理由のとおりの利活用が今一つ進んでいないように感じられる。暗号資産には、法定通貨にない決済手段としての合理性があるのだが、今はまだ投機の「原資産」という印象が強いのではなかろうか。


2 民事訴訟法改正の議論にみえるイノベーションの萌芽

 筆者は、民事訴訟法改正のパブリックコメントに対し、専門家の直感などに依拠して意見を述べている。さて、その民事訴訟法改正の議論あるいは関連する検討の中で、筆者は次の2つの論点について、今はまだ感覚的なものに過ぎず、何ら具体的な形を創造するに至っていないが、社会的なイノベーションの萌芽を感じている。

 その一つは、法制審議会の民事訴訟法(IT化関係)部会(※1)において議論されている民事訴訟法改正の中の、訴訟資料、すなわち訴状や答弁書、準備書面、書証等の不特定多数の者に対するインターネット公開の議論である。現在の議論の趨勢では、今回の改正によってそこまで行きつくのは困難のようだが、これが実現されれば、単に司法の分野に止まらず、社会全体にイノベーションが起きるように感じられてならない(※2)。

 もう一つは、法務省に設置されている「IT化に伴う国際送達及び国際証拠調べ検討会」における議論である。その検討会における議論と上述の法制審議会における議論、特にウェブ会議による法廷や人証の証拠調べの議論とを併せて考察すると、ボーダレスの経済活動に対応するような形で民事紛争(※3)解決のあり方が大きく変わる、そういった萌芽を感じることができる。


3 ADRの変化

 ※2で触れたODR推進検討会や法制審議会の仲裁法制部会において、ADRによる和解合意に執行力を付与する議論がなされている。議論の行方については引き続き注視していく必要があるが、これが実現し、かつ、社会に浸透していけば、やはり司法の分野に止まらないイノベーションが起こる余地が充分にある。


 このほか、消費者契約法改正においては、遅ればせながら人が限定合理的(※4)であることを踏まえた議論がなされている。これらの法改正の議論を踏まえても、当会の調停センターにおいて、マーケティングを行ったり、建設的な外部の意見を柔軟に取り入れたりしつつ、場合によってはそれまで当たり前としていたことを検討し直すなど、変えるべきは変えていかなければならないと考えている。

 以上、前置きが長くなった。ここからは、本題に戻り、筆者が最近読んだ本をいくつかご紹介したい。


1 山際淳司「たった一人のオリンピック」角川文庫

 彼がNHKのサンデースポーツのキャスターを務め、Asahiスーパードライのコマーシャルに出演していたころから、彼の著書を読むことがあった。彼の著書の中で驚かされたものの一つが、このシングルスカルの選手を採り上げたものである。その当時、スポーツを採り上げたノンフィクション類似の著書といえば、当事者自身によるものか、メジャースポーツのスター選手に焦点を当てたものしかなかった。その環境の中、彼は、およそメジャースポーツといえない、しかもオリンピックにも出ていない選手について、過度なまでに詳細に採り上げたのである。この著書の中で私が最も気に入っている一説を紹介する。

「キッチンには“赤まむし”ドリンクが三ダース積まれている。近くのスーパーで1本三〇円のセールをやっていたときに買いだめしたものだ。」


2 消費者庁「特定商取引に関する法律の解説(逐条解説)」ウエブサイト特定商取引法ガイド

 同法を所管する消費者庁の解釈を紹介する本である。この本を読むと、時折フレッシュな発見に遭遇し、複雑な心境に至る。さて、この本を紐解くと、いつも次の2か所でひっかかる。すなわち、同法37条1項の「連鎖販売契約」の定義と、同法51条1項の「業務提供利益」のそれについて言及している箇所である。おそらく執筆者がそれらの本質を理解していないため、適用範囲の外縁を詳述できないのであろう。


3 中島岳志「100分de名著 大衆の反逆」NHK出版

 ミーハーなきっかけで、スペイン人のオルテガの著書「大衆の反逆」(中央公論新社の版)を購入した。読み始めては、どうにもページが進まず、そのうち読むのをやめてしまう、そんなことを数回繰り返した。そんなとき、NHKの「100分de名著」という番組でその著書が採り上げられたことを知った。

「先生に付いていけば最後まで読めるかも。」

 そう思い、放送は終わっていたので、番組で使用していたテキストを購入した。

 中島岳志は、そのテキストの中で、さまざまな示唆をしている。それらの中で、オルテガがいおうとした主題に、小指の爪がかすることができように感じた一説があった。

「思想とは、真理に対する王手である。」


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※1 当会の小澤吉徳会員が委員として参加している。

※2 このほか、法務省に設置されているODR(オンラインでの紛争解決手続)推進検討会における議論も同様の萌芽を感じられる。なお、この検討会にも、当会の小澤吉徳会員が構成員として参加している。

※3 ここで筆者が想定しているのは、企業間取引というより、越境型の消費者トラブルである。例えば、日本国内の消費者がインターネットを介してベトナムの会社から情報商材を購入したり、シンガポールの会社との間で業務提供誘引販売取引に該当するサイト制作契約を締結したりしたケースのようなものである。

※4 人の限定合理性は、「情報の質及び量並びに交渉力の格差」とは本来別次元のテーマであろう。

以上

センター長 小楠展央