灘五郷(今津・西宮・魚崎・御影・西)は、豊かな水に恵まれ、地元兵庫の米を使って杜氏による長い経験と勘による酒作りが行われてきた、灘の生一本という言葉でも知られている日本屈指の酒蔵の街です。
日本酒好きにはたまらない・・・といいつつ、名だたる酒蔵の見学を。
阪神淡路大震災での延々と炎に包まれる東灘区の光景が今でも私の目に焼き付いていましたが、今では街はすっかり、新しくなり、高層マンションが静かに立ち並ぶ間に、有名酒蔵の工場が点在していました。
神戸を大震災がおそった。一面の瓦
の中で杜氏はつぶやいた。
『蔵もつぶれて空しか見えない』と。
の中で杜氏はつぶやいた。
『蔵もつぶれて空しか見えない』と。
新たな酒は生まれた。・・・・・」
代々引き継がれてきたものがつまった酒蔵も崩れ落ち焼け落ちてしまった後、ゼロからの出発を決意した言葉だった と。
この話からふと思い出した一句があります。元禄元年、自分の蔵が類焼した際、この一句を詠み平然としていたことを松尾芭蕉が聞き、「是こそ風雅の魂なれ」「その者ゆかし」と言い、便りを行き来することになり、師弟の契りが結ばれた水田正英の一句です。
蔵焼けて さはるものなき月見哉
蔵は焼けてしまったけれど、蔵があったときには気付かなかった、蔵がなくなって初めて気づいたよ、ああ、いい月見だな。
あるべきであると思っていたものもなくなってみると新しい視点でものが見えるという意味かしら?
相容れない意見であっても、耳を傾けて理解しようとしてみたら、ふっと新たな世界が広がる、これぞはなしあいの原点かもしれませんね。 御 室
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