滞納家賃が何十万円もたまってしまい、家主さんが借主一家を追い出す場面に立ち会った。
「明渡しの強制執行」と呼ばれるものだ。
朝10時、執行官、引っ越し業者5~6名と4トントラック1台、鍵屋さん、大家さん夫婦と私が、田舎町の閑静な住宅街に集まる。そのものものしさに、ご近所の皆さんも遠巻きに様子を伺っている。
1か月前に通告された退去命令を無視し、家の中には、ご主人、奥さん、成人前後の娘と、黒猫が1匹残っていた。
玄関先で大家さんに土下座をして許しを乞うご主人を尻目に、定刻、執行官の説明が始まる。
途端に崩れ落ちる奥さん。呼吸が荒く、震えが止まらない様子。
娘が救急車を呼ぶ。サイレンが近づき、奥さんと付き添いの娘を連れ去るまでの約20分間の中断の後、執行官の合図で強制執行が始まる。
引っ越し業者は手際良く荷物を運び出し、鍵屋さんは慣れた手つきで玄関ドアのカギ交換を行う。
1時間ほどで作業は終了。
家の中に残されたのは、不要物の山と猫1匹だった。
ともすれば情に流されてもおかしくない状況の中、大家さん夫婦は、冷静にご自分の権利の実現に終始していた。
話し合いとは対極な半日。これも私たちの仕事なのだ。
2010年3月24日水曜日
2010年3月22日月曜日
紛争解決能力
運営委員の登山です。
私たちは、よく、調停に関する本を読んで勉強しています。
その中に、調停は、相手方から話し合いに応じる旨の同意が得られれば、半分は成功であるとの内容がありました。
考えてみれば、揉め事を話し合いで解決しようというのは、物凄いことです。
当事者は、ひょっとしたら、お互い顔を合わせるのも嫌なほど、揉めている状況にあるかもしれません。そのような状況の中、相手の言葉に耳を傾け、そして、解決策を第三者に委ねず、当事者同士で話し合って決めることは、相当のエネルギーを要することでしょう。
その反面、揉め事を解決した当事者は、苦労した分だけ、自らの紛争解決能力に自信を持つようになるのだと思います。
だから、当事者が、話し合いにより揉め事を解決しよう!と決定したことが、大きな第1歩を踏み出したと言えるのでしょう。
このように、調停の手続きにおいては、当事者が主役なのであり、私たち調停を行う側は、当事者を支えるだけの役割しか有していないのですね(それにしても、2時間(場合によってはそれ以上)もの間、他人間の揉め事について、真剣に耳を傾けてくれるところなんて、そうそうないと思いますよ)。
私たちは、よく、調停に関する本を読んで勉強しています。
その中に、調停は、相手方から話し合いに応じる旨の同意が得られれば、半分は成功であるとの内容がありました。
考えてみれば、揉め事を話し合いで解決しようというのは、物凄いことです。
当事者は、ひょっとしたら、お互い顔を合わせるのも嫌なほど、揉めている状況にあるかもしれません。そのような状況の中、相手の言葉に耳を傾け、そして、解決策を第三者に委ねず、当事者同士で話し合って決めることは、相当のエネルギーを要することでしょう。
その反面、揉め事を解決した当事者は、苦労した分だけ、自らの紛争解決能力に自信を持つようになるのだと思います。
だから、当事者が、話し合いにより揉め事を解決しよう!と決定したことが、大きな第1歩を踏み出したと言えるのでしょう。
このように、調停の手続きにおいては、当事者が主役なのであり、私たち調停を行う側は、当事者を支えるだけの役割しか有していないのですね(それにしても、2時間(場合によってはそれ以上)もの間、他人間の揉め事について、真剣に耳を傾けてくれるところなんて、そうそうないと思いますよ)。
2010年3月11日木曜日
だったら言っておいてくれれば良かったのに
昨年の夏、家族で軽井沢へ旅行にいった。せっかくだからと、歴史と風格あるホテルに泊まった。森の中に居ずまいを正す木造の建物は、風景に溶け込んでおり、軽井沢彫りの家具や部屋のキーホルダーさえ、旅情を包み込むようだった。
普段は飲み慣れないワインなどを軽く傾け、浮世の諸事を忘れて安らかに眠りに入る。
明け方、5時前。枕もとの壁がギコギコと鳴る。「こら」と私は小三の娘を叱る。 と、娘は眠っている。・・・またしても、ガリガリと鳴る。娘のいたずらではない。まだうす暗いとは言え、草木も眠る丑三つ時は過ぎており、魑魅魍魎、どろどろお化けの出番でもあるまい。しかし、得体の知れない鳴りものはしばらく続いた。なんだかわからないが、まあ、いろんなことがあるだろうと、夢うつつに戻ろうとしたところ、今度は、ドンドンと壁を叩く音。うーん、これは明らかに、その壁をはさんだ隣の部屋からの苦情の意思表示だ。でも、ウチじゃないんです。
誤解がとけないのは辛いからと、妻がフロントに電話をかけた。フロントはゴメンナサイと言ったらしい。「実は、ハクビシンが住み着いておりまして・・・。」
だったらはじめから言っておいてくれれば良かったのに。こういうホテルを選んで泊まるんだから、むしろ、森の動物が訪ねてくることをおもしろがってくれる人のほうが多いんじゃないですか。怖いのは人のほうです。隣室のお客さんに恨まれたままだったら、大変でした。チェックアウトの時、妻はそう告げていた。ハクビシンよりモモンガの方が好きだな。モモンガだったらもっと良かったな、と私は思った。
調停人候補者 榛葉隆雄
普段は飲み慣れないワインなどを軽く傾け、浮世の諸事を忘れて安らかに眠りに入る。
明け方、5時前。枕もとの壁がギコギコと鳴る。「こら」と私は小三の娘を叱る。 と、娘は眠っている。・・・またしても、ガリガリと鳴る。娘のいたずらではない。まだうす暗いとは言え、草木も眠る丑三つ時は過ぎており、魑魅魍魎、どろどろお化けの出番でもあるまい。しかし、得体の知れない鳴りものはしばらく続いた。なんだかわからないが、まあ、いろんなことがあるだろうと、夢うつつに戻ろうとしたところ、今度は、ドンドンと壁を叩く音。うーん、これは明らかに、その壁をはさんだ隣の部屋からの苦情の意思表示だ。でも、ウチじゃないんです。
誤解がとけないのは辛いからと、妻がフロントに電話をかけた。フロントはゴメンナサイと言ったらしい。「実は、ハクビシンが住み着いておりまして・・・。」
だったらはじめから言っておいてくれれば良かったのに。こういうホテルを選んで泊まるんだから、むしろ、森の動物が訪ねてくることをおもしろがってくれる人のほうが多いんじゃないですか。怖いのは人のほうです。隣室のお客さんに恨まれたままだったら、大変でした。チェックアウトの時、妻はそう告げていた。ハクビシンよりモモンガの方が好きだな。モモンガだったらもっと良かったな、と私は思った。
調停人候補者 榛葉隆雄
2010年3月4日木曜日
福島県司法書士会調停センター設立記念
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