2011年4月21日木曜日

感情のバランス

こんにちは、運営委員の井上史人です。
東北地方太平洋沖地震の被害に遭われた方には、心よりお見舞い申し上げます。
 先日、震災から2週間経過した3月の最終土日に、当調停センター“ふらっと”の運営委員の芝知美さん、井上尚人さん外数名の静岡の司法書士で、被災地の気仙沼、南三陸町周辺に出張法律相談に行ってきました。
 気仙沼の中でも内陸の方は、被害がないわけではありませんが、地震による建物損壊等の被害がそんなに酷くはない一方で、港付近は津波による被害がかなり深刻で、テレビ等でも報道されているとおり、海岸付近の集落は壊滅状態で本当に酷い被害状況でした。
 いくつかの避難所を回って、順次法律相談を行ってきましたが、住宅を流されてしまったが住宅ローンの残債務はどうなるのか?保険は、どのくらい出るのか?自宅の建直しの場合の補助金はどうなるか?身分証明書が何もないが、生活に必要な借入ができるのか?土地の杭が流されてしまって、所有権の範囲がわからない。勤務先も壊滅的な被害を受けていて、今後の仕事の見通しもなくどうすればよいか?など様々な問題を抱えている方が多数いらっしゃいました。
 今後、我々司法書士にできることを少しずつ取り組んでいきたいと思います。
 話は、変わりますが、今回の震災では、震災直後に多くの企業がCMを自粛し、その結果、ACの広告が数多く放送されましたね。その中でも、「遊ぼうっていうと遊ぼうっていう」のフレーズから始まる金子みすずさんの詩が大変注目を浴びています。とてもいい詩ですよね。CMの最後に「優しく話しかければ、やさしく相手も答えてくれる。」というフレーズで締めくくられますが、このような人の心理を「好意の返報性」と言うそうです。 
人には、相手が持っている感情と同程度の感情で、感情のバランスを保とうとする心理作用が働くそうです。簡単に言えば、自分が相手を嫌えば、相手にも同じように嫌われ、自分が好意を持てば、相手にも好意を持ってもらえるということですね。
 紛争の最中にある当事者が、交渉によって揉め事を解決しようとする場合には、特にこの心理が妥当すると思います。一方的に怒りを相手にぶつけるだけでは、建設的な話し合いはできず、相手も同じように怒りの感情をもった平行線のまま、揉め事は解決しません。
 怒りの感情を下ろして、相手にやさしく接すれば、相手も同じようにやさしく答えてくれる可能性が高くなります。
 調停センター“ふらっと”では、調停開始前に利用者に対して3つのお約束をしていただいていますが、その中に「相手を非難したり、批判したりする言葉はさけ、どうしたらもっとよりよくなれるか互いに考えてみましょう」という約束があります。この約束は必ず守っていただかないと、調停において建設的な話し合いができないのです。
 普段の私生活においても、この人の心理を上手に活用できれば、ストレスのない生活を送ることができるかもしれませんね。

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