2011年8月4日木曜日

オープン・エンデット・アンサー?

何といっても昭和のおばちゃま達は、会話の達人である。
携帯電話もパソコンもなかった時代、彼女達の口は、情報伝達手段の
かなりの部分を占めていたであろう。 ご近所に誰がいて、どこに勤め
ていて、係長に昇進したらしい…なんて、今では、個人情報だと言われ
てしまいそうな事柄なんて朝飯前。おばちゃま達の頭の中には、ご近所
の間取りや、夜どこで休んでいるか、ついでに晩御飯のメニューだって
インプットされていたに違いない。だから、有事にはちゃんと助け合えた
し、子供たちだって地域で見守っていたのである。

先日、家庭裁判所で、意思能力が低下した方の面談があった。
Q「70円のパンと100円牛乳を買うといくらになりますか?」
A「170円」
Q「では、100から7を引くといくつですか?」
A「93」
すごい!できるじゃないの?と思った瞬間
Q「100引く7引く8は?」
A「ろくじゅうなんぼかな~」
Q「そうですか?」
A「違った、はちじゅうなんぼだねぇ。」
Q「いくつですか?」
部屋の中が、一瞬凍った感じがした。そのとき
 「今は、レシートにちゃんと書いてあるから心配しなくても大丈夫よ!」
とのお答えと、にっこりと相手を包み込むような笑顔が。

きっと、私だけでなく、目の前の調査官だって、心の内では拍手を送って
いたに違いない。残存能力の確認とはいえ、人生の大先輩に失礼な質問
をしてしまった。クローズド・クエスチョン(イエスかノーで答えられる質問)
に見事にオープン・エンデッド・アンサー?で答えた昭和のおばちゃまの
会話力に心から拍手を送りたいと思った。こんなことがあるから人間って
魅力的で、好きにならずにはいられないのですね?
                                        橋本

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