午前9時半の開場直後から、強風のため回転中止になっていましたが、午後2時半ごろには風も弱まり、回転が始まりました。
観覧車というのは、園内のどこからでもその存在が確認でき、また、園外から遥かに見渡す際にも、真っ先に目に飛び込んでくる、まさに遊園地の象徴といえるオブジェクトです。
そんな観覧車が止まっている、という状況は、遊園地そのものは稼働していながら、なにかが決定的に欠けている、そんなやるせなさ、喪失感を与えるものです。
2度目となるイルカのザブーンの列に並びながら、ふと見上げた青空にゆっくりとその巨体を揺り動かしている観覧車を発見し、娘は歓声をあげながら私の手を引きました。
彼女は、観覧車が好きなのです。
怖がりで、あまり動きの早い遊具には乗りたがらない彼女には、動きはゆっくりでも、通常では考えられない高さまで昇り、少しの風でも大げさに揺れるゴンドラは、最高のエンターテイメントなのです。
てっぺんまで昇ったゴンドラの中で、私は娘に問いました。
もし、このゴンドラの床と座席だけ残して、左右や上方の囲いがすべて無くなったらどうする?
娘も、私も、想像しました。それまで、絶対の信頼をおいて寄りかかっていた背もたれがなくなる。どんな強風も遮ってくれていた囲いがなくなる。
それは、ひどく怖ろしい想像でした。思わず私は、惨めにも床に這いつくばり、風に飛ばされないように必死でしがみつきました。
連休はまだ始まったばかり。
青野雅之
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