2014年6月23日月曜日

「うん、ちょうどいい。」


私達は、丘の上にある中華料理店で少し遅めの昼食を済ませて、支払いのためレジに向かった。対応してくれた店員の女性は、まだ片言の日本語しか話さないらしい。私は、おつりが無いように、代金をレジ机の上に置いた。彼女はそれをゆっくり片手に乗せると、もう一方の手の人差し指で真剣な表情で数えはじめた。そして、数え終わると顔を上げ、にっこり笑ってこう言った。

「うん、ちょうどいい。」
私達は、一瞬顔を見合わせ、そして、
「ご馳走さま、おいしかったです。」
と言って店を後にした。私は、口元だけではなく目元も微笑み返しに協力したことを感じとった。

  いつものレジでのやりとりは、決まっている。こんなときは多分、
「ちょうど頂きました、ありがとうございました。」
と返ってくるはずだ。

 「ちょうどいい・・・」
この言葉を、日本語使いに慣れている私は、こんな風には使えない。

 「ちょうど頂きました。」は、相手が天秤に先に重りを載せて、こちらが釣り合うだけの重りを載せた場合に返ってくる言葉のイメージで、どちらかというと一方通行。
「ちょうどいい」は、お互いが重りを載せて、釣り合う「支点」を協力して探し当てたときに聞けそうな響きで、なんとなく心が通っている感じで心地良い。

調停を支えるって、「ちょうどいい」探しを見守ることかもしれませんね!

                                     管理人

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