2013年4月24日水曜日

私が考えたこと

先日、気仙沼で開催されたマラソン大会に参加して生まれてはじめて
5キロ走り、なんだか気分がすっきりした佐藤です。

さて、先月、ふらっと主催でロールプレイ研修を行いました。
同じ事例を用いて2組ロールプレイをやってもらいました。
同じ事例でも調停人が変わると当事者の反応も異なり、興味深かったです。

そして、今回の研修の目的は、ロールプレイのあと事例検討をみんなで行うことで、調停人の頭の中を再現することです。

事例は店の前にできた行列のせいで植木鉢が割られてしまったという事件です。
申立人は損害賠償を請求されているたこ焼き屋さん。
相手方は植木鉢を割られた酒屋さん。

調停人は当事者に事件の経緯を話してもらいます。
その中で調停人はまず「共通点」と「相違点」を見つけていきます。
受講生の中に、相違点はすぐにわかるけど共通点は分かりにくい、という感想がありました。「共通点」で一番わかりやすいのは双方否定していないこと、つまり「事実」です。
今回のケースでは、「植木鉢が割れた」という事実です。

そして、当事者にとってみれば、事件のいきさつはさんざん話してるし分かりきったことだからなんでまた話すの?と思うかもしれません。
しかし、このセッションをないがしろにしてはいけません。

理由は2つ。
まず、調停人にとっては初めて聞くことなので調停人自身が事件を理解しなければいけないから。
次に、頭に血が上った当事者にとってもう1回自分の口で話させることでクールダウンができるから。必然的に第三者にわかってもらえるような言い回しになります。

共通点と相違点が見えたところで、次に調停人は、相違点を見ていきます。
今回のケースでキーポイントは、植木鉢が大切なものである、ということです。
酒屋さんにとってその植木鉢は思い出の品でした。
しかし、たこ焼き屋さんにはたかが植木鉢、です。だから、なんでそんなに酒屋さんが怒るのか理解できません。

そこで、調停人の出番です。
なぜ、酒屋さんがこんなに怒っているのか、その「理由」を酒屋さん自身に話してもらえるように投げかけるわけです。これはよく「ニーズを探る」と言われます。
ある人は、その人がある物(ある物事)に対する思い入れを、相手方の頭の中にも情景として浮かぶように、調停人は質問をしていく、という表現をしていました。
ニーズを探る作業は、これと同じです。

さらに進んでいくと、相違点の中にも、また小さな共通点と相違点が見えてくるので、同じ作業を繰り返していきます。

「調停人はふたりの話合いを支えます」というセリフ。
わかったようでわからないですよね。
私は、上述した作業が「支える」ということだと考えてます。

そして、ADRの著名な先生はたくさんいますが、先生ごとにそれぞれ言い回しが異なります。
しかし、私はどの先生も、この作業を繰り返すことを言いたいだけで、ただ言い方が違うだけだと考えます。

以上、なが~くなりましたが、これが研修を通じて私が考えたことです。

                                                  佐藤麻妃

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