前にも書いたかもしれませんが、私は、小学校で絵本の読み聞かせをしています。
毎週水曜日の朝8時から10分間が、その時間です。
1年生から6年生のクラスまで、私は全学年を担当しますが、学年によって生徒の反応は大きく異なります。
低学年のクラスは、みんな目を輝かせて聞いていますので、絵本中のギャグや面白い言い回しに敏感に反応して盛り上がることが多いのですが、高学年になると、クラス全体の雰囲気が落ち着きすぎているときがあります。そんなとき、絵本に書かれているギャグを言ったときの、あのシーンと静まり返った教室といったら・・・、冷や汗ものです。
最近、私は、読み聞かせをするときの教室の反応は、当日の私の状態が大きく影響することを強く感じるようになりました。
同じ絵本を毎週読むにしても、前夜自分の子どもに読み聞かせをして、朝は余裕を持って教室に入ったときは、子ども達の意識がこちらに向いていることを感じることができ、絵本を読み終わった後の拍手が多いと思います。一方、朝の準備に時間がなくて慌てて教室に飛び込んだときは、多分いつもより読み方が早口になっているのでしょう。受けがよくありません。
読み聞かせは、絵本を通じたコミュニケーションだと思います。コミュニケーションには、やはり、心の余裕が必要だなあと思うこの頃です。
さて、今回は、最近の読み聞かせのなかで、鉄板ネタとなった一冊の絵本を紹介させていただきます。
タイトルは「大きな木」。シェル・シルヴァスタイン作、訳者は、あの村上春樹さんです(あすなろ書房・定価1,200円+税)。
原題を“The Giving Tree”といい、文字どおり訳せば「与える木」となります。
大きなりんごの木は、一人の少年に与え続けます。
りんご、枝、幹。見返りを求めることなく与え続ける木と、成長する少年の対話の物語です。
文字数が少なく、普通に読めば10分もかからない本ですが、私は一読してすっかりこの本が好きになってしまいました。
最初、この本は、シンプルだけど子どもに向けた「分かりやすい」本ではないと思い、5~6年生に読み聞かせをしました。やはり、子どもの受けもよく、教室が盛り上がるタイプの本ではありませんが、読後の温かい雰囲気が、クラスで共有できたと思います。
そして意外だったのは、1年生にも好評だったところです。担当する学年を間違え、高学年に読もうと持っていった「大きな木」でしたが、実際は1年生のクラスであり、多少ドキドキしながら本を読み進めたところ、数人の1年生が、読後に「いいお話だったねえ」と言ってくれました。
明日はクリスマス・イブですね。
どうですか、サンタさん。
子ども達に「大きな木」のプレゼントを。
増田真也
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