2022年11月14日月曜日

ふらっとについて

 法制審議会 家族法制部会では、子の最適な利益という視点から、法律家だけではなく、面会交流などの支援をしている関係者(以下「支援者」という。)なども加わって、現状の問題点を踏まえながら協議を進めております。さまざまな論点が協議されておりますが、なかでも印象に残っているのは、支援者の司法に対する不信感の表明でした。


離婚後の親子を実際に支援している支援者の立場からすると、面会交流調停では父または母のみが意見を表明することができるだけで周辺の祖父や祖母などの意見は取り入れられない、年齢が低いという理由だけで当事者である子の意見を聞き取ってくれない、結局のところ月1回の2~3時間という定型的な面会ということでまとめられてしまうなど、当事者の想いとはかけ離れた調停(または審判)がされてしまったという印象を抱いているようです。そのようにして結論が出された調停または審判ですから、面会交流の実施率も低いというのが現状のようです。支援者の立場からすると、もっと裁判所が当事者の意見をくみ取る制度設計が必要なのではないかという旨を発言しておられました。


ふらっとは、法務省から認証を得たADR(裁判外紛争解決手続)機関として位置づけられております。もちろん、ふらっと以外にもADR機関は存在し、なかには年間100件を超す事件を扱っている機関もあるようです。そのような機関の調停方法は、当事者から挙がってきた情報をもとに、当該機関が適正と考える解決案を示すという裁断的な調停を採用しているようです。示された解決案に当事者が署名・押印すれば一件落着という処理をしているのでしょう。しかし、ここで提示された解決案が実現されているのかというと明らかではありません。はっきりしているのは、解決案が実現されるかどうかに関わらず、機関として実績を一つ積み重ねた、少しシニカルな表現をすれば解決案という一片の紙ぺらを手に入れたということではないでしょうか。


ふらっとでは、当事者に対話を重ねていただき、対話を通して自ら解決を導き出す調停方法を採用しておりますので、ふらっとから当事者に対して解決案を示すということは行っておりません。それは、ふらっとが目指している調停が「解決案の実現」にあるからだろうと、私は考えております。対話を通して、自身の想いを伝え、相手の想いをくみ取って導き出された解決案であれば、自ずと解決案が実現されるであろうと考えているからです。このように解決案が実現されれば当事者の満足度は高まるでしょうから、先ほどの支援者の司法に対する不信感とは異なり、ふらっとは信頼を一つ積み重ねることができるだろうと思います。


これまで以上に司法書士が活動の幅を広げるためには、実績を積み重ねていくことは欠かせません。しかし、実績だけに目を奪われて目の前の当事者に思いを寄せなければ、冒頭の支援者のように、かえって不信感を抱かせることにもなりかねません。私たちの業務は委任契約によって成り立っております。その委任契約の根本にあるのは、当事者からの「信頼」です。その「信頼」の一つ一つを積み重ねてきたからこそ、司法書士は150周年を迎えることができたのではないでしょうか。


ふらっとでは、現在2件の調停を実施しております。委員の皆さんは、「解決案の実現」を目指して、当事者の声に耳を傾け、粘り強く対応しております。そのことが、ふらっと、ひいては司法書士への「信頼」になればと願って活動しております。


ふらっとの調停は、一見してもどかしい調停方法に感じる方もいらっしゃると思いますが、以上の次第ですので、どうぞご理解を賜りたく存じます。また、皆さんから、ふらっとをこれまで以上に応援していただけたら、担当部長としてこれ以上の喜びはありません。事件の紹介も受け付けております。どうぞ、これからもふらっとをよろしくお願いします。


小出

2022年9月8日木曜日

メディエーションの技法

私がふらっとの活動に関わるようになってからそれなりに経ちましたが、最初のきっかけはふらっと主催のメディエーションに関する研修会でした。

最初は何のことかよく分からず研修に参加しましたが、研修で学んだメディエーションの技法が、ここにきて普段の業務や業務以外の部分に生かされているのをよく感じます。

例えば、相槌の打ち方だったり、話の要約の仕方だったり、場合によっては相手の身振り手振りを真似したり、オウム返しをしてみたり。

そうした、当事者がまずは「この人はちゃんと自分の話を聞いてくれる人だ」と安心して話をしてもらえるようにするための調停人のスキルとして学んだことが、普段の相談業務等で自然と使えるようになったことで、以前より肩の力を抜いて相談を受けることが出来ている感じがします。

メディエーションの勉強は特にまだ経験の浅い新入会員の方にとっては非常に有意義なものだと思います。

今後もふらっとは手続実施者養成研修等を企画しておりますので、興味のある方は是非ご参加ください。


小林

2022年8月5日金曜日

「やさしさ」を知る

 立教大学渡辺憲司名誉教授の「やさしさを胸いっぱいに吸い込んで・・・」と題する文章に触れた。

 文中に、白血病で闘病中の広島カープのかつてのエース北別府投手が、コロナウイルス陽性反応の出た阪神タイガース期待の若手藤浪投手に贈った言葉が引用されていた。「運が悪いと思うなよ。申し訳ないと思うなよ。しっかり治して阪神ファンを、野球ファンをマウンドのうえから喜ばせて下さい。もちろん私もその姿を待っているし、復活する姿を見たいと思っていますよ。」というものである。白血病という苦しみの中にいることで、北別府さんの本当のやさしさが言葉になったのだと綴っている。

 「優しい」は、人の憂いと書く。憂いを共有できるのが人のやさしさなのだと説く。また、「やさし」の語源は「痩せる」だそうである。己の身を細らせる時に優しさが生れると云う。

 調停センター「ふらっと」が、やさしさの牽引者になれたらいいのにと感じながら読み進めた。

早川

2022年6月5日日曜日

トラクターの世界史

世界を変えるほどの発明は何かと聞かれたら、皆さんは何を思い浮かべますか?


印刷機?

羅針盤?

自動車?

飛行機?

コンピューター?


おそらくこの質問に対して「トラクター」と答える人はいないでしょう。

でも、『トラクターの世界史』という本を読み終えた人の何割かは、人類史におけるトラクターの重要性に気が付くはず。


農業においてもっとも基本的な作業は、畑を耕すこと。

でもそれは、もっとも過酷な作業でもあるのです。


トラクターという「耕す」ための機械が登場することで

農作業の負担は大幅に軽減し、農業従事者は田舎を離れ

工業に従事するようになりました。


また、農作業に馬の力を借りずに済むようになると糞を肥料にしなくなり

化学肥料が用いられるようになります。


こうした変化は食糧生産の効率を大幅に向上させるのですが

人口が増えすぎるという負の側面ももたらすことになったのです。


例を挙げるときりがないのですが、

畑が平らなのも、原油の価格が食糧の価格に影響するのも

みんなトラクターの登場によるものなのです。


この本のおかげで、私は以前よりほんの少しだけ世界が違って見えるようになるほどの衝撃をうけました。




ところで


みなさんの身近にも、世界観が変わるようなものがあるのです。

ADRという紛争解決手段なのですが・・・

利用してみませんか?


竹下

2022年5月9日月曜日

ドライブ・マイ・カー

単行本ではわずか49頁しかないこの物語がどんな脚本に生まれ変わるのか。楽しみに観た直後、正直言って全てを理解することはできず、引っかかる何かが若干残ったものの(それが村上春樹のエッセンスを損なっていない証左かもしれない)、「自分の心と上手に、正直に折り合いをつけていく」という台詞だけは胸に残り続けた。

“ふらっと”でも「折り合いをつける」という言葉を使うことがあるからかもしれない。

そこで、改めてこの言葉を検索してみると「交渉において、互いにある程度譲り合って双方が納得できる妥協点を定めること。互いに意見や立場が対立しないポイントを見出すこと。」とある(Weblio辞書より)。

私が“ふらっと”で「折り合いをつける」を使うときは、互譲という対相手方のスタンスではなく、自身を見つめ直すことで、自分の気持ちを整理し、自分が納得できるポイントを見つけるという対自分のスタンスで発していたので、ドライブ・マイ・カーの台詞が刺さったのかもしれない。

“ふらっと”で私が調停実施者(調停人)を担当するときは、当事者が、自分自身に折り合いをつけることができるよう努めたい。

 

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(あらすじ:映画『ドライブ・マイ・カー』公式サイトより)

舞台俳優であり演出家の家福(かふく)は、愛する妻の音(おと)と満ち足りた日々を送っていた。しかし、音は秘密を残して突然この世からいなくなってしまう――。2年後、広島での演劇祭に愛車で向かった家福は、ある過去をもつ寡黙な専属ドライバーのみさきと出会う。さらに、かつて音から紹介された俳優・高槻の姿をオーディションで見つけるが…。
喪失感と“打ち明けられることのなかった秘密”に苛まれてきた家福。みさきと過ごし、お互いの過去を明かすなかで、家福はそれまで目を背けてきたあることに気づかされていく。

・・・・・・・・・・・・・・・

これほど3時間が短いと思った映画は久しぶりです。何度も観たくなる映画。アマゾンプライムで観なおしました。その日は前後に何も予定を入れず、じっくり観るのがお薦めです。


増田

2022年4月26日火曜日

調停人のスキルは応用できる?

調停人のスキルで最も重要で基本となるのが「聴く」スキルです。

「聴く」トレーニングのためだけに何百時間もかけると言っても過言ではありません。

「聴く」ことによって人の潜在意識の中に眠っている「答え」を引き出すことになります。

一方、コロナ禍の中で、ZOOM等によるコミュニケーションが当たり前のようになってきました。

オンラインによるコミュニケーションでも「聴く」ことはとても重要となります。

もちろん、オンラインであろうがリアルであろうが、コミュニケーションにおける重要な要素は変わりありませんが、オンラインでのコミュニケーションでは、リアルで行っていることをより意識的に行う必要があると感じています。

1年前くらいから、私は、様々な背景を持つ方々とフェイスブックライブを行っています。ZOOM会議に「発信」という要素が加わった感じです。そこでの私の主な役割は、ファシリテーターとしての役割です。誰が決めたわけでもなく自然とその役割を担うことになっていました。これには、調停人としての経験が自然と活きていると感じています。特に、経営者と対話をするときには、その方の「強み」にフォーカスします。「聴く」ことでその方の「強み」の源泉にたどり着くとその方に「自覚」が生まれます。「自覚」によるその方の変容が楽しくてやりがいを感じます。そして、その「変容」の瞬間が調停人のスキルの可能性を感じる瞬間でもあります。

名波


2022年3月7日月曜日

静岡県人の県民性?

法律相談を受けていると、ときどきびっくりするぐらい昔のことを相談されることがあります。

例えば、10年とか15年も前に亡くなった父または母の相続に関して、相続財産を管理をしている兄弟から、未だに遺産分割の話をしてこないのだがどうなっているのだろうか?とか、10年以上前に知人(または兄弟に)に数十万円とか数百万円のお金を貸したのに、返してもらっていない等。

法律家からすれば、どうしてそんなに長い間紛争を放置しておいたのだろうと疑問が湧く一方で、静岡県外出身の私には、これってのんびりしている静岡県民の県民性なのかしら?と思うこともあります。

まあ、紛争の当事者からすれば、相手方との関係を悪くしたくないので、なかなか言えなかったというが実情なのでしょう。

紛争の解決方法といえば、裁判や和解交渉がイメージしやすいですが、「放置」というのも紛争解決の方法として選択肢の一つとなることがあります。

ただ、紛争を放置しておいても、それが良い方向で解決することはあまりないと思います。

相手方との関係性を大事にしながら、紛争解決を望むのであれば、”ふらっと”を利用して、話し合いをしてみることをお勧めします。


井上

2022年2月5日土曜日

『腹の中には○○がある?』

『腹を割って話す』

対話する際、本心をさらけ出して言葉にするという意味があります。

古来より日本では、本心・本音は腹の中にあると考えられていたといいます。

言葉からもその考えは表れており、腹黒い、腹が立つ、腹に一物、腹を探る、などなど。

物騒なところでいえば、武士の切腹も腹を切り、中身を見せることで自身が潔白であることを示す意味もあったとかなかったとか。


頭ではなく腹にこそ心があるというのは、対話のヒントになるかもしれません。

『本音で対話するには腹が大事。』というとなんのことやらという気もしますが、こと姿勢に関して考えるとあながち間違っていないと思われます。

腹(へそ)を相手に向けることによって、自然と視線も体も相手を向くことができます。

対話をしている気持ちになってみてください。

しっかりと正対してくれる相手とどこか横を向いて話す相手。どちらとより会話をしようと思うでしょうか。話しを聞く際は、相手の方を向き真摯に話しを聞くことが重要であるとよく分かります。


しかし、実際には感情のもつれから向かい合って話し合うことができない人もいらっしゃいます。そんな方達に、腹を割って話し合うことができる場を提供することに腹を据えて取り組んでいきたいです。


小野

2022年1月5日水曜日

「・・・順番、逆じゃない?」

 とある場面にて。【】はLINEでのやりとり。

 

(相手の状況を察し、忙しいであろう日時は避けたうえで。)

A「トゥルル…」

B「何⁉今忙しい!こんな時に電話かけてくんなよ!」

A「え、そ、そりゃ悪かった。後で折り返し頼む。」

B「もしもし、さっきはびっくりしたわ、いきなり電話かけてくんなよ。」

・・・後日

A【忙しいところ申し訳ない、これから電話かけてもいい?】

B【いいよ。】

A「トゥルル…」

 

さて、この電話をかける前にLINEで確認をするという行為、最近よく見かけます。

いきなり電話をかけるのは相手に失礼だ、という風潮。

 

・・・順番、逆じゃない?

 

①まずは電話をかける(相手の状況を察して日時は空気を読む)

②電話に出られないなら、そのまま出なければ良い話で。

③ああ、電話に出られないという事は何か理由があるんだな、とこちらは判断。

④そこではじめてLINEの出番。

【忙しいときにごめんよ。後で折り返し頼む。】

【用件だけ入れとく。後で折り返し頼む。】

 

のほうが・・・どちらかと言えば・・・本来の順番だと思う今日この頃。

もちろん場面によりけりですが。

 

(あ、無理して電話に出てキレるくらいなら出ないでいただきたい、というツッコミに関する議論はまたいずれ。)

 

窪田

2021年12月7日火曜日

文字だとちょっと恐い人

文字だとちょっと恐い人っていますよね。

メールとか、何かの書き込みとかで。

恐いというか、素っ気なくて、文字から表情が読めない人。


普段から物静かなタイプの人だったら、その物静かな感じを頭に浮かべられるので、まあ大丈夫です。

これが、普段は底抜けに明るくて、この人の声、笑い声しか思い出せない、みたいな人が、こちらから


「〇日、〇〇の件でよろしくお願いします!早めに行って、先に準備してますから、〇〇さんはゆっくり来てもらえば大丈夫ですからね~(^-^)」


て送ったメールに、


「はい」


て返ってきたりすると、画面の向こうの表情が想像できなくて、ドキドキします。


で、〇日に実際お会いすると、やっぱりいつもどおり「ダハハハハ!」て笑ってくれるので、安心します。


一回不安になって、ホッとする。また落とされて、上げられる。


これを繰り返していると、二人の関係性がだんだん強固になっていくんでしょうか。

いくんでしょうねぇ。


青野

2021年11月5日金曜日

「正論は人を傷つけることがある」

私の楽しみの一つに、連ドラをみることがあります。

毎週録画を設定しておき週末にまとめてみます。


そんな中、先日みたドラマで、俳優の古田新太さんの台詞が心にとまりました。


「正論は人を傷つけることがある」


お説教をしたくなるとき、真剣に伝えようと力が入ります。ただ、それを聞く人にとっては、正しいことを言われているので反論できない、だからこそ「・・・っう」っとなってしまい、苦しい思いをします。


遺産分割調停の場でこんなやりとりがあったら・・・

長男が親のお金を使い込んでいることが判明した。

長女は長男に「なんてばかなことをしたの」と怒りまくる。

長男は黙ったまま長女を睨みつける。


みなさんなら、なんと声をかけますか。


佐藤 麻妃

2021年10月5日火曜日

読んだ本の紹介

 「最近読んだ本について紹介せよ。」というテーマを与えられたので、恥ずかしながら、それに従い、私が読んだ本(最近読み返したものを含む。)を思いつくまま紹介しようと思う。

 が、本題の前に、最近の会務の一部と併せて裁判外紛争解決手続について触れることにする。


1 決済手段としての暗号資産に魅力を感じて

 筆者は、最近10年間ほど、縁あって資金決済に関する法律、その中でも特に前払式支払手段と暗号資産(昨年までは仮想通貨と呼称されていた。)について、主に消費者の契約トラブルという観点から講義をしている。決済手段、特に現金決済や銀行振込以外の決済手段が多様化している一方で、暗号資産については、その本来の存在理由のとおりの利活用が今一つ進んでいないように感じられる。暗号資産には、法定通貨にない決済手段としての合理性があるのだが、今はまだ投機の「原資産」という印象が強いのではなかろうか。


2 民事訴訟法改正の議論にみえるイノベーションの萌芽

 筆者は、民事訴訟法改正のパブリックコメントに対し、専門家の直感などに依拠して意見を述べている。さて、その民事訴訟法改正の議論あるいは関連する検討の中で、筆者は次の2つの論点について、今はまだ感覚的なものに過ぎず、何ら具体的な形を創造するに至っていないが、社会的なイノベーションの萌芽を感じている。

 その一つは、法制審議会の民事訴訟法(IT化関係)部会(※1)において議論されている民事訴訟法改正の中の、訴訟資料、すなわち訴状や答弁書、準備書面、書証等の不特定多数の者に対するインターネット公開の議論である。現在の議論の趨勢では、今回の改正によってそこまで行きつくのは困難のようだが、これが実現されれば、単に司法の分野に止まらず、社会全体にイノベーションが起きるように感じられてならない(※2)。

 もう一つは、法務省に設置されている「IT化に伴う国際送達及び国際証拠調べ検討会」における議論である。その検討会における議論と上述の法制審議会における議論、特にウェブ会議による法廷や人証の証拠調べの議論とを併せて考察すると、ボーダレスの経済活動に対応するような形で民事紛争(※3)解決のあり方が大きく変わる、そういった萌芽を感じることができる。


3 ADRの変化

 ※2で触れたODR推進検討会や法制審議会の仲裁法制部会において、ADRによる和解合意に執行力を付与する議論がなされている。議論の行方については引き続き注視していく必要があるが、これが実現し、かつ、社会に浸透していけば、やはり司法の分野に止まらないイノベーションが起こる余地が充分にある。


 このほか、消費者契約法改正においては、遅ればせながら人が限定合理的(※4)であることを踏まえた議論がなされている。これらの法改正の議論を踏まえても、当会の調停センターにおいて、マーケティングを行ったり、建設的な外部の意見を柔軟に取り入れたりしつつ、場合によってはそれまで当たり前としていたことを検討し直すなど、変えるべきは変えていかなければならないと考えている。

 以上、前置きが長くなった。ここからは、本題に戻り、筆者が最近読んだ本をいくつかご紹介したい。


1 山際淳司「たった一人のオリンピック」角川文庫

 彼がNHKのサンデースポーツのキャスターを務め、Asahiスーパードライのコマーシャルに出演していたころから、彼の著書を読むことがあった。彼の著書の中で驚かされたものの一つが、このシングルスカルの選手を採り上げたものである。その当時、スポーツを採り上げたノンフィクション類似の著書といえば、当事者自身によるものか、メジャースポーツのスター選手に焦点を当てたものしかなかった。その環境の中、彼は、およそメジャースポーツといえない、しかもオリンピックにも出ていない選手について、過度なまでに詳細に採り上げたのである。この著書の中で私が最も気に入っている一説を紹介する。

「キッチンには“赤まむし”ドリンクが三ダース積まれている。近くのスーパーで1本三〇円のセールをやっていたときに買いだめしたものだ。」


2 消費者庁「特定商取引に関する法律の解説(逐条解説)」ウエブサイト特定商取引法ガイド

 同法を所管する消費者庁の解釈を紹介する本である。この本を読むと、時折フレッシュな発見に遭遇し、複雑な心境に至る。さて、この本を紐解くと、いつも次の2か所でひっかかる。すなわち、同法37条1項の「連鎖販売契約」の定義と、同法51条1項の「業務提供利益」のそれについて言及している箇所である。おそらく執筆者がそれらの本質を理解していないため、適用範囲の外縁を詳述できないのであろう。


3 中島岳志「100分de名著 大衆の反逆」NHK出版

 ミーハーなきっかけで、スペイン人のオルテガの著書「大衆の反逆」(中央公論新社の版)を購入した。読み始めては、どうにもページが進まず、そのうち読むのをやめてしまう、そんなことを数回繰り返した。そんなとき、NHKの「100分de名著」という番組でその著書が採り上げられたことを知った。

「先生に付いていけば最後まで読めるかも。」

 そう思い、放送は終わっていたので、番組で使用していたテキストを購入した。

 中島岳志は、そのテキストの中で、さまざまな示唆をしている。それらの中で、オルテガがいおうとした主題に、小指の爪がかすることができように感じた一説があった。

「思想とは、真理に対する王手である。」


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※1 当会の小澤吉徳会員が委員として参加している。

※2 このほか、法務省に設置されているODR(オンラインでの紛争解決手続)推進検討会における議論も同様の萌芽を感じられる。なお、この検討会にも、当会の小澤吉徳会員が構成員として参加している。

※3 ここで筆者が想定しているのは、企業間取引というより、越境型の消費者トラブルである。例えば、日本国内の消費者がインターネットを介してベトナムの会社から情報商材を購入したり、シンガポールの会社との間で業務提供誘引販売取引に該当するサイト制作契約を締結したりしたケースのようなものである。

※4 人の限定合理性は、「情報の質及び量並びに交渉力の格差」とは本来別次元のテーマであろう。

以上

センター長 小楠展央

2020年9月13日日曜日

音とコミュニケーション

 今朝はわりと早起きでした。ゆうべ窓を開けたままだったからでしょう。

 テレビをつけ、ゴロゴロしていました。そうすると、いつの頃からかピアノの音が聞こえてきました。とても悲しい調べでした。

それはベートーベンのピアノソナタ「月光」という曲でした。「ソナタ?」に引っかかりながらも、いつの間にかその悲しい調べに聴き入っていました。

「今の作曲家も著作権を放棄すれば、もっとみんなに聴いてもらえるのに。」

 ふとそんなことを思い浮かべました。そうこうしているうちに曲は第3楽章。もともと私は曲の印象より技巧に感銘を覚えるたちで、技巧的に難しそうな調べに再び聴き入りつつも、威勢のよさや晴れやかさではなく、何か悲劇のクライマックスのような印象を持ち始めていました。

「ジョボジョボジョボ…。」

曲が最高潮に達しようかというその時、背後から老母のお茶を注ぐ音が聞こえてきました。ハッと我に返り、むっくり起き上がり、おはようも言わずにズルズルとお茶をすすりました。

同じ空気の振動だけど、曲の調べ、お茶を注ぐ音には、言葉を超えた何かがあるのかなあ・・・。

そんな何でもない日曜の朝でした。


2020年8月24日月曜日

大阪弁

 先日、大阪弁で話す人とご一緒した。言葉そのものはお笑いの人と同じなんだけど、敵対気味の関係だったので、聞いていて怖かった。言葉は同じなんだけどねぇ。そういえば、ものすごく丁寧に穏やかに話してくれているのに、なんか腹が立つ、そんなこともある。そんなとき、言葉遣いや話し方はあんまり関係ないのかなぁ・・・?


2020年6月4日木曜日

ふしぎ発見

先日ブログに書いた通り、家庭菜園を始めました。
今日一番の発見は、トマトの苗から既にトマトの匂いがすることです。

そして現在、栽培に一番苦戦しているのはトマトではなく、一番栽培が簡単だと思われた大葉です。
大葉は乾燥が苦手ということで、たくさんお水をあげすぎたためか、プランターの水はけが悪かったためか、はたまた肥料やけを起こしたのか、生えたての本葉が次々と黒くなって枯れてしまいます。

(水をあげすぎたと言ってもそこまで頻繁にあげているわけではないのに不思議だな~と思っていたのですが、最近その理由が判明しました。何と庭が地続きになっているお隣さんが、親切にも、私の庭の植物に毎朝お水をあげてくれていたのでした。親切心でやってくださっているし、私も家を空けている間はありがたいので、やめて欲しいと伝えることも出来ず、しばらくは私が水やりを控えています。)

どうしたもんかと思いつつ、枯れてしまった大葉の苗の残骸の匂いを嗅いてみたら既にシソの匂いがすることに感動した私は、その後、何となく間引くこともしないで苗を放置することにしました。
するとなんと、本葉が枯れたはずのところから新しい本葉が2枚ずつ生えて来るではありませんか。左右で本葉が2枚枯れてしまったところには、合計で4枚の本葉が出てきていることになります。

すごい生命力です。どういう遺伝子なんでしょうか。なんという名前の現象なのでしょうか。不思議がいっぱいです。
とにかく、今度生えてきた葉っぱは枯れないように対策を考えねば。

2020年5月27日水曜日

有機りんりん

こんにちは。
近頃めっきり暖かいといという言葉を使わない季節になりました。
暑いです。すっかり夏という感じです。

さて、この前ブログにも書いた通り、春ごろから家庭菜園を始めたのですが、ゴールデンウイークに初めて収穫を終え、次なる野菜の栽培を始めようと、先日ホームセンターに行ってきました。

一番の目当てはトマトの苗だったのですが、コロナ特需のためか、時期に少し遅れためか、スイカとメロン以外の苗はほとんど売り切れ。
仕方なく、帰りに別の用事で立ち寄った百円ショップで見つけた、2個で100円のトマトとエンドウと大葉のタネを購入して帰りました。
種蒔の時期としてはシーズンぎりぎりでしたし、価格が廉価だったこともあり、あまり期待せずに「1つか2つ芽が出れば万々歳」という心持ちで種を蒔きましたが、結果、ポットに植えた全ての種から発芽しました。
発芽率100%とは、百均侮れません。

種から芽が出るまでの1週間、発芽するか心配でインターネットで色々調べて野菜について色々なことを知りました。


  • 大葉は光が当たらないと発芽できない好光性であること、逆にトマトの種は光が当たっているとうまく発芽しない嫌光性なので種に土を少し集めにかけてあげた方が良いこと、エンドウはそのどちらでもないこと。
  • トマトやエンドウは水をあげすぎるとつるボケしてうまく実がつかないけれど、大葉は乾燥が苦手なので水を切らさないようにしなければいけないこと。
  • エンドウやトマトは連作障害に気を付けなければいけないこと。
  • 大葉は虫がつきやすいが、生命力は強く、一度植えると来年以降も勝手に生えてくる系の植物なので、環境によってはプランター等で分けて栽培した方が良いこと。
  • 肥料の成分にも、窒素は葉、リン酸は実、カリウムは根の発育をそれぞれ助ける役割があり、野菜の種類によって肥料を使い分ける必要があること。
  • 酸性の土では野菜はよく育たない上、野菜の種類によって好まれるpH値が違うこと。


これまで考えもしなかったことばかりです。
きっとこれらは先人の知恵や、研究者たちが日々研究を積み重ねてきた結果そこにある知識なのでしょうが、私が大学で民法を学んでいたころ、きっと農学部の学生はこういったことを講義で学んでいたのだろうと思うとなんだか感慨深く感じます。

夏の暑さが私の野菜たちを美味しく育ててくれますように。

2020年5月14日木曜日

眉毛とエコノミー

最近、眉毛を生やし始めました。
あまり眉毛のことと普段意識されていない方は、眉毛など生やさなくてもそもそも生えているではないかというかもしれません。
しかし、小学生の頃に眉毛が濃いことを指摘されて以降、それをずっと気にして、眉毛が太くならないように、抜いたり剃ったり切ったりしながら、私は元の形とはかけ離れた眉毛のかたちを長年維持してきました。
しかしここ数年の太眉ブーム。
長年抜いても沿っても薄くならない私の眉毛の根毛のしぶとさに屈し、いよいよ手入れが面倒になってきたこともあり、しばらく眉毛を抜いたり剃ったり切ったりせず放置してみることにしました。
最初の一、二週間は、それはそれは不格好なゲジマユでしたが、今ではだいぶ形も眉毛らしくなってきました。
かなり長い間眉毛ではなかった部分が、自身が眉毛であったことを忘れることなく眉毛の形を覚えていることに遺伝子の神秘を感じます。
どこで聞いたかは定かではありませんが、眉毛の太さの流行は時の景気に左右されるそうです。
確かに、バブル期はめちゃめちゃの太眉ブームでしたし、思えば、私が小学生だった頃はバブル期から一転、バブル崩壊後の不景気が嘆かれる時代で、細眉が一世を風靡していました。ここ数年、太眉がブームだったことは、新卒の就職難の時代から、売り手市場の時代へと変わっていたこととも一致します。
現在大変な状況にある多くの若者や、企業や事業者のためにも、そして何より私の眉毛のためにも、ずっと太眉ブームが続きますように。
た。

2020年5月7日木曜日

GW

ゴールデンウィーク、皆様いかがお過ごしでしょうか。
自粛ムードの中、気軽にどこかへ遊びに出かけることも出来ず、かといって帰省してゆっくりすることも憚られる、、、今年のゴールデンウィークはあまりゴールデン感の感じられない約一週間でしたね。

毎年不思議に感じているのですが、「GW」の文字を見ただけでそれが「ゴールデンウィーク」のであると思いつく人がどれほどいるのでしょう。

  • ゴールデンウィーク (Golden Week) - 日本の4月下旬から5月上旬の休日が連続する期間で、黄金週間ともいう。
  • ジョージ・ワシントン (曖昧さ回避)
  • ジョージ・ワシントン (George Washington) - アメリカ合衆国の政治家で、同国初代大統領。
  • ギガワット (gigawatt) - 電力・仕事率の単位。10億ワット。
  • ゲートウェイ (gateway) - プロトコルの異なるコンピュータネットワークを接続するための通信機器。
  • 架空地線 (ground wire) - 送電鉄塔や電柱の最上端に架けられた、雷よけ用の電線。
  • 海上強風警報 (gale warning) - 気象庁が発表する、海上における強風に関する気象警報。
  • 総重量 (gross weight)
  • ギニアビサウのISO 3166-1国名コード
  • グッドウィル (Goodwill) - 日本の企業
  • ゲームズワークショップ (Games Workshop) - イギリスのゲーム会社
  • 日興グローバルラップ
  • ギャランティードウェザー・ホールディング
  • GW Pharmaceutical
  • ガスワールド(Gasworld) - 産業ガスの業界月刊誌
  • ガンダムウォー (Gundam War) - バンダイのトレーディングカードゲーム。
  • 新機動戦記ガンダムW (Gundam Wing) - ガンダムシリーズの1作のアニメ。
  • Get Wild - TM NETWORKの楽曲。
  • ゴールドウィング (GoldWing) - ハンゲーム内のゲーム
  • ゲーム&ウオッチ (Game & Watch) - 携帯型ゲーム機シリーズ
  • グローバル・ワーク (Global Work) - ファッションブランド
  • Game World - ゲームサイト
  • みどりの風 (Green Wind) - かつて存在した日本の政党
(引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/GW フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)-GW(ジーダブリュー))

Wikipediaで見ただけでもこれだけの候補が出てきます。
そして、今この時期にGWという文字を見るからこそ、それがゴールデンウィークであると分かるだけで、例えば12月に同じ文字を見ても何のことだか分からないかもしれません。
私の中で今年のGWはゴロゴロウィークという感じでした。さて、来年はどうなるのでしょうか。


.gw - ギニアビサウの国名コードトップレベルドメイン

2020年4月24日金曜日

友情

 突然ですが、みなさんは特に理由がなくても気軽に連絡できる人はいますか?
 
 私の場合は、「連絡」というと、例えば会うための日程調整だったり、どうしても話をしなければいけない用事があったりした場合などに、事務連絡のためにするものだと思ってしまっている節があるのと、何の理由もなく、自分が暇だったり話を聞いて欲しいときに周りの人に連絡するというのは、自分の都合を相手に押しつけていて自分勝手な感じがしてい、なんとなく躊躇してしまって、気付けば友人にも家族にも気軽に連絡できる人はいないという状態です。
 挙句の果てには、しばらく連絡をしておらず最近どうしているのか気がかりな友人がいても、特に連絡する理由が見つからなければ連絡してみたくても連絡できずに、ずっと悶々としながら生活する羽目に。
 
 ...という話をある友人にしたところ、「それって友達じゃないじゃん」と言われてしまいました。
 ショック!
 私がこれまで友人だと思っていた友人たちは、実は友達ではなかったのかと、私は非常に落ち込み、今度からは何も理由がなくても雑談するために連絡してみよう!と固く決意したのですが、結局何の理由もなく連絡する理由が見つからず、うじうじすること1年。ようやく機会が巡ってきました。
 昨今の新型コロナウイルスの流行で、多くの人が影響を受ける中、友人たちは大丈夫なのかと、あまりいいことではないけれどもこれなら特に理由がなくても電話する理由になると、私は重い受話器をあげ、ついに何の理由もなく新型コロナウイルスことで心配だからという理由で、友人と連絡を取ることに成功したのです。
 「いま電話したら迷惑じゃないかな…」などと何度も逡巡した末のコールでしたが、なんだかんだで言い感じに雑談でき、友達との有意義な情報交換を行うことが出来ました。何の理由もなく連絡するというのもたまにはよいものですね。
 そして、きっとこれで私とその友人は友達になれたはずです。

 人付き合いの仕方は人それぞれだと思いますが、友達というものの捉え方さえ色々な価値観があり、近くにいてもその価値観の違いに全く気づかずにいることもあるようです。
 それに気付かせてくれた友達には本当に感謝です。また理由が見つかったら理由もなく連絡したいと思います。

2020年4月19日日曜日

バーピー

 なかなかお出かけができない状況が続いていますが、普段、スポーツや運動等、体を動かすことが趣味の方はストレスを募らせている方も多いのではないでしょうか。
 最近、筋トレをしている方から、家で器具等がなくてもできる全身運動「バーピー」を教えてもらいました。
(どんな運動なのかは文章ではうまく説明ができないので、気になる方は「バーピー」で検索してください。)
 20秒間バーピーの運動を続けて10秒休憩を8セット繰り返すと、たった4分で結構な全身運動になるのでお勧めとのことです。
 なんと学校が休校になり退屈にしているその方のお息子さんも、一緒に家でバーピーしているそうです。微笑ましいですね。
 家にいてやることがないからと言ってゲームばかりしているのではなく、きちんと家で勉強をしたり、運動をしたり、それぞれ楽しみ方を見つけている息子さんたちには本当に尊敬です。
 そして、私も家で試しにやってみて1セットで足が動かなくなり、微笑ましいなどと感じた自分を恥じたほどにキツいバーピーを4分も続けられる遺伝子と生活習慣には、ただただ脱帽です。