2022年5月9日月曜日

ドライブ・マイ・カー

単行本ではわずか49頁しかないこの物語がどんな脚本に生まれ変わるのか。楽しみに観た直後、正直言って全てを理解することはできず、引っかかる何かが若干残ったものの(それが村上春樹のエッセンスを損なっていない証左かもしれない)、「自分の心と上手に、正直に折り合いをつけていく」という台詞だけは胸に残り続けた。

“ふらっと”でも「折り合いをつける」という言葉を使うことがあるからかもしれない。

そこで、改めてこの言葉を検索してみると「交渉において、互いにある程度譲り合って双方が納得できる妥協点を定めること。互いに意見や立場が対立しないポイントを見出すこと。」とある(Weblio辞書より)。

私が“ふらっと”で「折り合いをつける」を使うときは、互譲という対相手方のスタンスではなく、自身を見つめ直すことで、自分の気持ちを整理し、自分が納得できるポイントを見つけるという対自分のスタンスで発していたので、ドライブ・マイ・カーの台詞が刺さったのかもしれない。

“ふらっと”で私が調停実施者(調停人)を担当するときは、当事者が、自分自身に折り合いをつけることができるよう努めたい。

 

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(あらすじ:映画『ドライブ・マイ・カー』公式サイトより)

舞台俳優であり演出家の家福(かふく)は、愛する妻の音(おと)と満ち足りた日々を送っていた。しかし、音は秘密を残して突然この世からいなくなってしまう――。2年後、広島での演劇祭に愛車で向かった家福は、ある過去をもつ寡黙な専属ドライバーのみさきと出会う。さらに、かつて音から紹介された俳優・高槻の姿をオーディションで見つけるが…。
喪失感と“打ち明けられることのなかった秘密”に苛まれてきた家福。みさきと過ごし、お互いの過去を明かすなかで、家福はそれまで目を背けてきたあることに気づかされていく。

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これほど3時間が短いと思った映画は久しぶりです。何度も観たくなる映画。アマゾンプライムで観なおしました。その日は前後に何も予定を入れず、じっくり観るのがお薦めです。


増田