2010年10月25日月曜日

調停のヒント

調停センターふらっとの研修をやってみて、自分が早くまとめようとするようになっていとことに気がついた。

 最近自分の考えを押し付けているような場面に出くわしたので、この話を今回のテーマにしてみようと思います。

 調停委員として、家裁で調停をやっているが、中でも一番大変なのが、遺産分割調停だと言われています。

 今回扱った事件は、父が死亡(母は先に死亡)し、相続人3名(長男、次男。長女)で、遺産分割調停申立事件です。

 結果として、解決までに2年かかり、調停回数は14~15回かかっている。

 私の経験した遺産分割の中でも長期間難事件の分類に入る事件だった。

 ここまで、長くかかったのは、財産が多かったこと、特に農地が多く、分け方がなかなか決まらなかったことや、回を重ねるごとに今までの家族の確執が出てきたことがある。

 調停を始めて3度目位で、財産もほぼ出尽くし、お互いの思いも大体わかってきた。相続人間で分け方が決まらなかったため、調停委員の方で、農地を中心に長男が土地をとり、外に出ている次男、長女は預貯金を主体にした分け方を提案した。

 この提案の問題点は、不動産の評価が高いため、全体財産の40~50%近くを占め、長男の取り分が多くなることであった。ただ、農地等は、現実には評価は高くても、売れば農業経営がだめになるし、売るわけにはいかない所もあり、預貯金等を取得する方が有利だと思い提案した。しかし、この提案は法定相続分にこだわる、次男、長女にあっさりと拒否されていまった。

 そして、j拒否する際に「この提案は、調停委員さんの押しつけに感ずるのですが…」と言われてしまった。この提案をした時、自分は家を残すという意識が知らず知らずに出てしまったのではと、後で考えた。

 農地を守るとか、家を守るというのは、家の後継者がよく考える。

 私も長男であり、相続の際に“家を守る、家を継ぐ”と言う意識をした。従って農家を守るとか農地を守るとか言う、今回の例の話だが、“家を守ることが大切で、少し位多く取得してもいいのでは…”と考えてしまったのではと、今になって思う。

いずれにしても。この遺産分割は成立し、最後に双方の人々よりお礼も言われたが、相続における時代の流れを知る意味で、いい勉強になると共に、常に相続人の“思い”をしっかり受け止めることが大切だと感じた例でした。



志太榛原支部  佐藤寛でした。

2010年10月11日月曜日

オーケストラの指揮者と演奏者に見る非言語コミュニケーション

 運営委員の池谷です。久しぶりに投稿します。
私は、クラシック音楽が好きです。コンサートを見に行ったり、BSのクラシック番組などをよく見る。特にチャイコフスキーやマーラーの迫力あるフルオーケストラの交響曲はたまらない。
コンサートでは指揮者は後姿しか分からないが、テレビではカメラが指揮者の正面や横から映してくれるので指揮者の表情などが良く分かる。1曲の演奏に30分くらいのものもあれば、1時間以上のものもある。その間に指揮者と演奏者の絶妙な非言語コミュニケーションが見て取れる。指揮者の「動作」「姿勢」「身ぶり手ぶり」「顔の表情」「視線」などに対して演奏者は応えてくれる。もちろん楽譜があるので演奏そのものを間違えることは無い。しかし、「強弱」「速さ」「感情を込めて」「サラっと流す」などの指示は確実に演奏者に伝わっている。
 第4楽章のフィナーレの場面では、指揮者は全身を使って表現(指示)している(全部ではないが)。演奏者はそれに応えて全身を振り絞って演奏する。そのダイナミックさに圧倒され、感動する場面だ。そして演奏は終わる。観客の拍手が鳴り止まない。
ある本にこんな記述があった。「オーケストラの楽団員は一人ひとりがプロとしての自信と誇りと強い個性を持っています。決して命令や理論、権力やお金では本気で動きません。これらの人たちを本気にさせ、心を一つにさせるオーケストラ指揮法こそがまさに究極の人間関係、究極の経営なのでしょう。」
 ADRのトレーニングや、実際の調停の場面で非言語コミュニケーションについて非常に意識するようになった。これもこの年齢になって少しは成長したということか。