2009年7月27日月曜日

“うなずき”“あいづち”

始めまして、運営委員の花田です。

このブログには、これまで多くの人が投稿していますが、みんな“ふらっと運営委員会”のメンバーであり、総勢14名で運営しています。
私で11人目なので、全員登板までもう少しです。


さて、メディエーター(調停人)は、様々なトレーニングを積んでメディエーションに臨むわけですが、その基本的なスキルの一つにノンバーバル(非言語)コミュニケーションがあります。

数年前の司法書士会の研修でも、名波さん、芝さんが中心となって、このノンバーバルコミュニケーションの基礎講座を行いました。
2人一組になって片方が自己紹介をするのですが、聞き手役は、最初、「石のお地蔵さん」のようになって全く表情を変えないで聞き、2回目は、話し手に合わせて“うなずき、あいづち”をします。
聞き手役が無表情だと話し手はとても話しにくくて言葉に詰まってしまうんですが、聞き手がうなずいてくれると気持ち良く自己紹介ができます。聞き手役が意図的に無表情にしているのを分かっているにも係わらず、全然違うんですよね、これが・・・
研修の場でなく日常生活の中だったら、相手の本音が分からないので、話し手側の気持ちはもっと違うでしょうね。

こうしたスキルは、私たちが日常業務で依頼者と会話をしたり、友人、知人、家族と話をするときにも全く同様ですから、身に付けておいて損はないですよね。こちらが何も嫌悪感を持ってないのに、うっかり「石のお地蔵さん」で相手の話を聞いてしまったら、相手方に勘違いされるに違いありませんから・・・

そういえば、人前で話すのはお手の物といった司法書士の方が、人前で話すコツとして「話す前に“うなずいて聞いてくれそうな人”を3人ぐらい選んでおいて、その人達に順番に目線を向けながら話すといい」と言っていたのを思い出しました。
その方にとっては、学んだというよりは実践で身に付けたテクニックなのでしょうが、まさしくノンバーバルコミュニケーションの裏技ですね。

普段、何気なくやっている“うなずき”“あいづち”ですが、なかなか「深い」ですね・・・。

2009年7月23日木曜日

トレーニングの様子

 運営委員の登山です。よろしくお願いいたします。

 昨日は、本調停センターふらっとの指定研修機関の1つでもある「ADR研究会しずおか」の勉強会に参加してきました!
 調停人候補者は、その能力の維持向上のため、年間に一定の研修を受けることを義務付けられているのです。
 研修の内容ですが、専ら「体感」することが中心の参加型の研修であるため、時間の経つことを忘れさせてくれます。大体いつも、最初にアイスブレイク(直訳すると「氷を壊す」ですが、「緊張をほぐす」という意味です。過去ログに詳しく載っていますね。)を30分程度行い、その後にコミュニケーションスキルを中心として理論を勉強し、実際に体感し、感想を述べて新たな発見をする、といった具合に進んでいきます。

 さて、どうしてこういった研修が必要なのでしょう!?

 昨日の研修の中で、私なりに感じたことを述べさせていただきます。

 一般に、紛争の背景には、それぞれの当事者の、経験や考え方の違いが存在します。これを仮に「枠」とするならば、紛争当事者は、それぞれの枠で意見を主張する結果、共通点・合意点が見つからない、といった結果になることもある訳です。

 ここに第三者が介入する場合、1つの方法としては、1つの枠(たとえば法律とか、慣習とか)を用意して、その中で紛争当事者に決着をつけさせる方法があります。この場合、第三者としては、公正、明確な基準となる枠を用意することに心を砕く必要があるかと思います。

 しかしながら、調停センターふらっとの調停は、これとは別の方法をとります。それは、この方法には、悪く言えば、当事者の枠を無視することになる一面があるからです。当事者の枠を気にしていたら解決がつかない、ということもあるかもしれませんが、そこをあえて、選択した訳です。
 調停人は、当事者自身が、それぞれ相手方と枠が異なることを認識できるように手助けし、そのうえで、当事者双方が、どういった枠の中で決着をつけるのかを選択できるように手助けし、そこからようやく、解決に向けての話し合いのお手伝いをします。
 まさに、「黒子」です(笑)。
 そのため、調停人としてのトレーニングは、当事者の話を感情に流されずに聞くとか、当事者の話を否定せずに受け止めるとか、そういった「体感」するものとなる訳ですね。

 大変ですけれど、こういったトレーニングは、日々の業務、また、日常生活でも役に立つので、楽しみながら参加するのが、長続きのコツでしょうか(笑)。

2009年7月13日月曜日

タ・イ・カ・ン

こんにちは。運営委員の増田です。
はじめての投稿になります。

私は昨日・一昨日と、東京・早稲田で行われたワークショップ
『コンフリクト・マネジメント・セミナー 協調的問題解決と対人コミュニケーション
 ~Win-Winのための問題解決~』に参加してきました。
 http://www.quonb.jp/service/management/

とっても刺激的!な体験をしましたので、簡単に報告します。


まず、なにが刺激的って、講師の鈴木有香先生! 
最高です。
弾けるパワー、巧みな話術で、私たち受講生は有香ワールドへ引きずり込まれました・・

次に、受講生の顔触れ。
IT関係・薬剤師・大学講師・土地家屋調査士・行政書士などなど・・
年齢層も20代から60代(たぶん)、お住まいも北から南までとバラエティー豊かな面々でのロールプレイは、同業者では出てこないだろう考えやフレーズがたくさんあって楽しかったです!

そして、ワークショップの内容。
今回は、ミディエーション(有香先生は、「メ」ディエーションではないと強調されていました)、第三者が介入する問題解決方法ではなく、私たちが生活するうえで避けることができない他者との衝突、主張や意見の食い違い(コンフリクト)に着眼し、相手方との関係を壊すことなく、Win-Winとなるような、当事者同士における協調的交渉とは何かを学びました。

模擬交渉あり、グループディスカッションあり、とにかく体を使い、私たち人間の多様性、多様性を認識した上でのコミュニケーション・スキルを体感しました。


ネタばれになるので詳細はお伝えできないのが残念ですが、二日間のマスダメモを記します。

・コンクリフトをなくすことはできない。それならば、コンクリフトの肯定的側面を認識し、積極的に関わろう!
・コンフリクトの肯定的側面は、「相手をより理解できること」「自分が分かること」。

・Win-Winの関係を作るためには、「相互の信頼」「丁寧なコミュニケーション」「発想の転換」が重要。表面的なWin-Winに気をつけろ。

・ポジションに囚われるな。相手のニーズに着眼し、問題の再焦点化を図ること。
 「Aもニーズできて、Bもニーズできるにはどうしたらよいか」に当てはめろ。
・再焦点化できたらブレーンスト-ミング。頭に嵐を起こせ!
・最終決定にはリハーサルが必要。あらゆる事態を想定して備えろ。

・怒りの根源は「承認要求」がほとんど。

・情報の提供は、客観的事実を表現すること。

感情のパラフレーズは相手に共感を与える。

失敗を恐れるな!

どうでしょう。
このメモだけだと何がなんだか分からないと思いますが、有香先生のワークショップに参加すれば共感してもらえるハズ。
みなさんも、コンフリクト・マネジメント・セミナーに参加されてはいかがでしょう。

有香先生からエネルギーをもらえますよ!
私は逆に吸い取られてしまって、今日は仕事になりませんでした(泣)
・・・・・冗談です

2009年7月10日金曜日

調停センターふらっと運営委員会開催!

 運営委員の赤松です。
 今日は、静岡県司法書士会において、「調停センターふらっと」の運営委員会が開催されています。
 副センター長の名波さんや事務長の芝さん、運営委員の増田さん、中里さん、井上(尚)さん、井上(史)さん、登山さん、池谷さん、鈴木さんもいます。
 運営委員会では、「調停センターふらっと」を、どうやって皆さんに知ってもらうかということや、今までに寄せられた相談や問い合わせの内容の分析がなされました。
 行政機関との連携を図ることや静岡県司法書士会内においても「総合相談センターしずおか」との連携など、検討していかなければならないことが山積みです。
 これから運営委員が、マスコットキャラクターの「ウィンウィン」をもって、各地に伺うことがあると思います!
 もちろん、話し合いのお手伝いをする「調停人」のトレーニングもかかせません。調停人に対する今後の研修計画も具体的に立てられました。
 
 「裁判にはしたくないけど、このまま放置できない…」という悩みがありましたら、お気軽に「調停センターふらっと」にお問い合わせを!!

2009年7月9日木曜日

『感情』と『話し合い』

はじめまして、運営委員の鈴木修司と申します。
毎日、ジメジメとした蒸し暑い日が続いていますね。

先日、私の事務所に挨拶に来た依頼人が「こう毎日雨ばかり続くと気分が晴れませんよ。」と言っていました。その方は、雨で仕事が休みなので立ち寄ったとのことです。

天候と感情・気分とは密接に関連しているということを聞いたことがあります。その依頼人の気分が晴れない原因が雨のせいなのか、あるいは雨で仕事がないからなのか、その真意は不明ですが、感情的にネガティブになっていました。


さて、私たちは、個々の性格や気質に関係なく、ポジティブな感情なときもあれば、ネガティブな感情に陥ることもあります。感情は、いつでも、どんなときも存在し、私たちの行動や思考に大きな影響を与えます。

紛争当事者は相手方に対し、怒りや不満、嫌悪、苛立ち、恐怖、嫉妬など様々な感情を抱いています。その感情は、本来の争点に加え、相手方の話し方や態度によってさらに増大していくこともあります。また、時にはその感情を強めている原因が相手方の問題だけでなく、自身の側に問題があることもあるかもしれません。 そのような感情を抱く原因を理解することはなかなか難しいものです。

ところが、双方が話し合うことにより、怒りや不満、苛立ちなどの感情の原因をお互いが分かりあえることがあります。話し合いにより自分自身の感情が変化していくことに気が付くこともあります。
もちろん、感情は理屈ではありませんので、話し合いを重ねても理解し合えないこともあるでしょう。ただ、それは話し合いの結果ですからお互いが一歩先の段階へと進んだことになりますよね。

調停センター「ふらっと」では、紛争当事者がお互いに話し合うことにより、解決の糸口を見つけるお手伝いをいたします。
裁判手続きは、紛争が客観的かつ画一的に解決しますが、解決によって紛争の争点や相手方に対してポジティブな感情を抱くことは少ないと思われます。


お互いが向き合って話すことにより、よりポジティブな感情が生まれることが期待できるのです!

2009年7月1日水曜日

熱を解かせ!

運営委員の井上尚人です。
今日は「緊張をほぐすこと」「怒りを冷ますこと」について、お話ししようと思います。

私たちは、調停についての勉強会を月に1回くらいのペースで行っていますが、冒頭「アイスブレーク」というミニゲームを行っています。
これは、見知らぬ人との緊張をほぐしたり、逆に勉強を始める準備として参加者を暖める意味を持っています。
もちろん、運営委員同士は顔見知りなので敢えて緊張をほぐす必要はないのですが、スクール形式の研修会などに比べて、アイスブレークを行うとより活発な意見が出るようになるのです。不思議ですね。

この「緊張をほぐす」という考え方は、調停時の「クールダウン」にも通じます。

私たちが日々行う法律相談において感じるのが、相手方への不満、嫌悪、怒りです。「どうしてこちらの言い分が理解できないのか・・・」と相手方へのイライラがつのり、さらにお怒りになる方も多いです。
抱えているトラブルについて、もはや相手方と話し合うことができないまでに険悪な関係になってしまっていることも、あります。

ただ、私たち調停センターは「お互いが話し合ってトラブルを解決する」ことを目指しています。
調停当日相対した当事者の皆さんは、相手に対する嫌悪や緊張で固く、堅くなっています。怒りで熱くなっています。今まで対立していた相手を前に冷静でいろというのが無理なのかもしれません。トレーニングを重ねた私たち調停人ですら、これから始まる真剣な話し合いをいかに進めていくか緊張感をもって迎えるのですから。
このままでは、自分の考えを整理して話すことはおろか、相手の方が話していることも整理して聴き取ることは難しいですよね。

そこで、私たち調停人は、調停冒頭で時間をかけて調停のルールを説明したり、お互いの呼び名や着座位置の確認など、しっかり時間をかけて話し合いができるような環境作り、場の緊張を解きほぐすように努めています。これが「クールダウン」です。
クールダウンは、話し合いが白熱してきたときなど、意図的に休憩を取ったりして調停中も行います。

トラブルを抱えていると、どうしても「怒り」「嫌悪」「ストレス」がたまります。
でも、感情に任せた発言は話し合いを混乱させてしまいます。感情の高ぶりを廃しトラブルの原因を見つめてみると、思いのほか自分と相手を冷静に見つめることができるものです。

熱を冷まし、緊張を解くこと、「熱を解かせ!」でした。