2009年11月20日金曜日

ケースマネージャーの役割

 運営委員の池谷です。この度ふらっと1号のケースマネージャーを担当したことから、今回はケースマネージャー(事件管理者)について書こうと思います。
 ケースマネージャーは、調停の申し込み受付、相手方への連絡、期日の設定、場所の設定、書類の管理など、メディエーションの入り口から出口までを担当する重要な役割を担います。

 ケースマネージャーにとって最初の大仕事が相手方への連絡です。相手方は、申込人との紛争について怒り、不満、不安などを抱えているはずです。そんな中で「何で自分が出ていかなければならないのか」「仕事が忙しくて行ってられないよ」とかの否定的な発言や、「この調停をやって本当に解決できるの?」「裁判所の調停とどう違うの?」とかの調停に対する疑問の発言などが出てきます。それでも話し合うことのメリット、調停の中立公正性、相手との関係修復を図れることなどを懇切丁寧に説明しながら、参加を促します。参加の回答をもらって調停の場に出てきてもらえれば、調停の半分は成功したと言えるかも知れません。

 かつて受講した研修の中で、ケースマネージャーが調停の中で見据える重要な視点は何かと問われたことがありました。それは「紛争解決」ではなく「当事者支援」だということでした。当事者が現状で抱えている問題、課題を把握したり、当事者が相手のことをどう思っているのかを知ることが大切だということでした。
 また、ケースマネージャーが陥りやすい罠として、「転移」(利用者がケースマネージャーに依存してしまう)や「逆転移」(利用者にのめりこんでしまう。調停を押し付けてしまう。)も警告しています。

 ケースマネージャーは調停全体を通して、当事者と直に接する重要なポジションにいます。先日、事件管理者・法令研修会が行われましたが、この研修で単位を取得し、名簿登載する若手の司法書士がいよいよ実務を担当することになります。これまでの研修で蓄えた知識や技法をいよいよ発揮する時が来ます。一人でも多くの司法書士がケースマネージャーの仕事ができることを期待します。

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