2011年10月24日月曜日

傾聴=経験則?!

「人の話を聴くようになった。」
年齢を重ねたことで一番自分が変わったと思うことです。

私は人に対しては自分の考えをどんどん述べるのですが、
人の話に耳を傾ける事が苦手です。特に若いころはそれが顕著でした。

しかし、経験を重ねると、それではうまくいかないことがだんだん
わかってきます。相手の話を聴いて自分の主張と照らし合わせ、
譲るところは譲り述べるところは述べる。
自分の主張を通すよりは、早期に話がまとまることが多い。
その経験則の積み重ねによって、どちらが自分や相手に利益となるか、
だんだん衡量ができるようになるのです。

「高校生でもいいかげんわかることだろう。」
そんな指摘を受けそうですが、私が未熟なのか、大人になっても
なかなかわからなかったんですよ。
紛争状態で冷静な感性を持ち合わせていない当事者にとっては
なおさらです。

調停のトレーニングの基本は傾聴であると言います。
数年前、まだADRが普及していないころ、ある人にメディエーション
とは何ですかと尋ねたところ、「人の話を聴くこと」と明快な回答を
いただきました。

なるほど。
でも難しい。傾聴のトレーニングが必要です。
今でもなかなかできていません・・・。

しかし、私は自分の人生に照らし合わせ、発見したのです。
傾聴トレーニングとは、本来経験則で見いだすべきノウハウを、
ログラムされたメニューによって一足飛びに学ぶことだと!
本来、習得には月日が必要なノウハウであって、短期にマスター
すること自体ムリをしているのだと!



・・・というのは、半分冗談で半分本当です。
しかし、調停人のノウハウとは、昔は普通にいた近所の世話焼きな
おじさんおばさんが当然身につけていたノウハウなのではないでしょうか。
その極意は経験則なのです。

                            井上尚人

2011年10月22日土曜日

消臭力

 「身震いする」「打ちひしがれる」「鳥肌が立つ」・・・正確な表現が見つかりません。
 先日、地元の小学生300人以上が参加する小学校音楽発表会に出席したときのこと。各学校の演目に先立ち、小学生全員が「夢の世界を」を合唱しました。
 ♪ほほえみかわして、語り合い♪ というあの名曲です。
 みんな、きれいな声してるな~と思っているうちに曲は進み、サビにきました。
 ♪さあ出かけよう 思い出のあふれる道をかけぬけ~♪ 
 ♪さあ語り合おう すばらしいぼくらの夢の世界を~♪ 
 澄みきった高く美しい声が、幾重にも折り重なって大音量で私の耳に届き、ついにその瞬間が訪れました。足元からゾワーッと寒気がきて、ブルブルッと震えていました。私の中ではミゲルくんを超えた一瞬でした。

 さて、今回は私の長男の話。
 勉強も運動も自信がなく、1年前に持ってきた通信簿を酷評してしまった私・・・。それ以来というか以前からもそうでしたが、長男は私に学校での出来事を話さず、宿題を見せることを嫌っていました。
 転機は長男の歌声でした。大きな口を開けて、家で課題曲の練習をしていた長男。声変わり前の少年が発するソプラノボイスに心底感動した私は、素直にその気持ちを長男に伝えました。照れた顔を見せた長男でしたが、その後も練習は続きました。
 後で知ったことですが、長男は音楽の授業では先頭に立ってみんなの見本になっているとのこと。あの日以来、僕と長男の関係は変わったように思えます。大げさかもしれませんが、ほめること認めること素直な気持ちを伝えることで、二人は信頼関係を築くことができたのだと思います。

 蛇足ですが、私も小学生の頃は歌声が自慢でした。集会などでは一人前に立ち、よく歌ったものです。
 18番は「帰ってこいよ」。 もちろん、今では声が出ません・・  

増田

2011年10月19日水曜日

最近、観じていること

最近、観じていることを述べたいと思います。

最近の異常気象、暴動、世界的な経済的行き詰まり、家庭崩壊、
DV、幼児虐待、犯罪の凶悪化、等私達の心の安まる日々は無いく
らいだ。

しかし、これらの事は、これまでの体制思想が行詰まり対立から
調和、力による解決から対話による解決、覇道ではなく王道による
政治が求められているといえる。人間と地球・環境とは相対立して
存在するのではなく、又環境は人間が征服していくものではなく共
に支え合って生きている存在である。環境問題に限らず、核兵器の
存在も対立から和合時代に入ったことを示す良い例だ。今や、人
類的にも地球的にも限られたパイを皆で仲良く分け合って生きてい
くべき時が来た。謂わば攻めから守りの時代に来たと言える。

それは、守りに強い女性の時代の到来であり攻めの原理である男性
原理の後退を意味する。それ故、日本の持つ役割は大きい。なんと
なれば、日本の神様天照大神は太陽神たる女性の神様を崇めている
からだ。同時に和をもって貴しとする国民的な傾向があるからだ。
この観点よりするならば、資本主義も社会主義も時代遅れと言える。

この詳細については、後日に述べたいと思う。今は、第三の道で
ある「人間主義」が閉塞せる時代の危機を打開できる鍵を握ってい
ると言える。この場合の「人間」とは、日本語の「人」である。西
洋のMANでは無く、中国の仁でもない。日本語の「人」は 一人の人
間は二人で支え合って成り立っているからだ。

2011年10月4日火曜日

合意にもハインリッヒの法則?

皆さん、こんにちは。 
副センター長の名波です。


昨日、”ふらっと”でまた一つ「合意」が生まれました。
今後とも、”ふらっと”をよろしくお願いいたします。



さて、突然ですが、ハインリッヒの法則をご存じですか?
時々、ニュース番組等で紹介される法則ですが、

1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、
その背景には300の異常が存在するという法則です。
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/c/c4/Heinrich%27s_law_ja.svg
(ウィキペディアより) 

あるとき、ニュースを見ていたらこの法則が紹介されていて、
何かと似ているな~と感じました。

そのときは、そんなに意識していなかったのですが、
後日、ADR研修会の講師として呼ばれたとき、
前泊したホテルで、「合意」ってどういうメカニズムで起きる
のだろうと考えていたら、その「法則」が頭に浮かんだのです。

「一つの合意も小さな合意の積み重ねでできているんだ」

もしかしたら、当たり前のことかもしれませんが、
私の頭の中に明確なイメージとなってピラミッド型の
モデルが現れたことは、大きな収穫でした。

このイメージが必ずしも正しいとは限りませんが、
自分の中で、イメージとして捉えることにより、
ブレがなくなると感じています。

皆さんにとって「合意」って、どんなイメージですか?

        

2011年9月29日木曜日

先入観(其の弐)


最近好んで読んでいる本に、東川篤哉という作家のミステリー小説があります。
登場人物が個性的で、ストーリーのテンポも良く、オススメです。

さて、この小説を紹介しましたのは、「先入観」を利用して読者をあっと驚かせる仕掛けが面白かったからです。

思い返してみると、前にもブログに「先入観」について書いた気がしますが、本ブログのテーマの1つである(と私は勝手に思っている)「人間関係」においては、この「先入観」というものが、様々に影響してきます。
私は、日々の業務から、時には「先入観」が災いし、接した相手と良好な人間関係を構築できないことがあるということを、よく感じます。
ですから、同じような話題であっても、ご容赦くださいませ。

さてさて、本筋に戻りたいと思います。
なお、ここから先は、東川氏の小説の「ネタばらし」となってしまうため、小説に興味を持ち、読んでみたいと思われた方は、ご遠慮ください。

私が東川氏の小説で面白いと思った仕掛けの1つに、活字だからこそできる仕掛けがあります。
例えば、小説の主人公が自分のことを「ボク」とか「オレ」とか呼んでいれば、その主人公は男だと思いますよね。反対に、「ワタシ」と呼んでいれば、その主人公は女だと思う訳です。
これが「先入観」です。
ところが、小説を読み進めていくと、今まで男だと思っていた主人公が実は女だった、ということが明らかになります。改めて読み返してみると、主人公が女であることをほのめかす文章が多数あったのですが、最初は、てっきり主人公が男であると思って読み進めていたため、これらのヒントに全く気付きませんでした。
このような活字ならではの仕掛けがいくつもある訳です。

これを日常の人間関係に置き換えてみれば、相手の第一印象から、よく話もしていないのに勝手に性格を決め付けたりすることなどないか、ということになります。
実際によく話をしてみれば、第一印象とは全く違う人となりが見えてくるかもしれないですよね。
このように考えると、人と接するときには、できる限り「先入観」を持たない方がよいのかもしれません。

(運営委員 登山)

2011年9月27日火曜日

説明

今の世の中、どんな職種でも顧客に対する説明責任が求められますよね。
説明が不十分だったり、不正確であったりする場合には、顧客からクレームを受けても仕方ありませんが、最近では、丁寧に説明をしていても、後になって「聞いていない」「説明と違う」等の反論を受けることも少なくありません。

このような顧客を十把一絡げに“クレーマー”と位置づけるのは簡単なことですが、中には、説明の仕方にプロとしての配慮や工夫が欠けているケースもあるのではないでしょうか?

私たちも、日頃、相談者に対し、複雑な紛争を紐解き、難解な法律用語を噛み砕いて説明をします。
その際、私自身が意識していることは、自分の頭の中に描かれている“球”が、相談者の頭の中に同じきれいな“球”として描かれているだろうかという点です。

相談者の頭に描かれた“球”は、ところどころへこんでいたり飛び出ていたりといびつな形になっているかもしれません。
手前の半分はきれいな“球”を描いていても、向こう側半分は角ばった物体と化しているのかもしれません。
自分の“球”と相談者の“球”を一致させることは、なかなか難しいのです。

へこんだ部分は内から吹き出し、飛び出た部分は外から叩き、角を丁寧に磨き、相談者の頭にも自分と同じ“球”を描くことで、冒頭のような反論は避けることができるのではないでしょうか。

中里

台風15号の被害相談について

 このたびの台風15号は、各地に大きな被害をもたらしました。被害に遭われた方には、心よりお見舞い申し上げます。
 私たちの事務所にも、近所のスレート瓦が飛んで自宅や車のドアに突き刺さったが弁償してもらえるのか・隣のカーポートが壊れて自宅の庭に散乱しているが、片づけてくれない・隣は空家で、めくれた瓦が放置されており危険な状態だがどうしたらよいか、等多くの相談が寄せられております。
 静岡県司法書士会調停センター『ふらっと』では、話し合いによる問題解決をサポートいたします。お困り事がございましたら、お気軽にご相談ください。