運営委員の鈴木修司です。
今年も残すところ10日となりました。今年は「ふらっと」にとって大きな前進の1年であったように思います。
さて、12月17日(木)、静岡県司法書士会館にて第2回調停センターふらっと運営委員会が開催されました。本日の主な議題は、(1)事例共有シートの取扱いについて、(2)司法書士調停センター人材育成担当者養成研修会、同手続実施者上級者コース研修会について、(3)紛争解決学の研修会等についてです。
事例共有シートは、実際にADR・メディエーションを実施しようとした事案で処理上生じた工夫点や注意点などを検討し、今後の改善に繋げるために関係者間のみで共有することだけを目的に利用するものです。これについては、守秘義務や倫理等の観点を十分に留意して検討を行い、また、研修会については、日程や参加者の確認、企画・運営などの検討がなされました。
委員会に引き続き事例検討会の開催です。
事例検討会は、事件の詳細や関係者を特定しない形で、実際に事件を処理したメディエーターやサブメディエーター、ケースマネージャーから注意点や工夫点などの説明があり、参加者で検討・共有を図るものです。
具体的には話し合いを行う場所や席の配置、申込者や相手方の言葉、表情、動作など多くの点に注意を払いながら進行していることが分かります。
当事者の中には、口の重い当事者、最初から戦闘態勢むき出しの当事者、思っていることが上手に表現できない当事者など様々な方がいると考えられます。それでも皆何とかしたいという思いからその場に臨んでいることでしょう。だからこそ、席の配置やミディエーターの一言でその場の雰囲気が代わったり、当事者との信頼関係が生まれたりするのでしょうね。
そう考えますと、ケースマネジャーやミディエーターは、合意に向けた「紛争解決」よりも「当事者支援」がより重要な視点ということが改めて実感できます。
これも対話の力ですね。
一口に対話(コミュニケーション)といっても奥が深いです。
2009年12月21日月曜日
2009年12月14日月曜日
民法改正と和解契約
運営委員の井上尚人です。
司法書士には青年会といって、若手の司法書士で構成する任意団体があります。静岡にも静岡県青年司法書士協議会があり、毎日活発に勉強会を行っています。
その東部地区の本年のテーマは「民法改正」です。
法務大臣は、諮問第88号で、民法債権法の分野について数年後の改正を目指し法制審議会で議論するよう付託しました。
法務省は、民法の中でも当面は債権法の分野のみ改正を検討するようなので、東部地区の勉強会も、債権法の分野のみに的を絞り勉強をしていく予定です。
さて、債権法の中に「和解」という章があります。当然、「和解」についても、検討対象になっています。私たち”ふらっと”が行う当事者間の合意も、この和解契約が下敷きになっているわけです。
”ふらっと”でもそうですが、私たちの司法書士業務においても、紛争が終結したときは、当事者間で行われた合意を書面にします。
私たちは、学者でなく実務家なので、この合意=和解契約について学問的に考察し、その視点で和解案を作成することは通常ありません。主に、①紛争の蒸し返し防止、②合意内容の実現を望んで契約します。
つまり、和解契約をすることについては、和解後の事後的な紛争防止という極めて実務上の視点しか持っていないと言っても過言ではありません。
しかし、学問の視点では、和解後への留意だけでなく、和解契約が存するための要件、つまり和解前の段階についても考察を行っています。
参考書によると、和解契約の要件は伝統的に「争いが存在すること」「互譲があること」なのだそうです。ただ、昨今はこの要件よりも当事者の合意そのものの存在や、和解の確定効を重視する学説も有力になっているようです。
今回の改正においては、和解と錯誤に関する規定として、「争いの対象となった事項に関係する事実について錯誤があった場合は、取り消すことができない」という内容の条文を新設するかどうか検討されるようです。
”蒸し返し防止”について明文を置いてはっきりさせる意図のようです。
正直、今回の勉強をするまで、和解契約について多角的に分析した学説が複数あることを知りませんでした。和解については、紛争の蒸し返し防止機能くらいしか意識したことがありませんでしたが、和解は”ふらっと”の根幹にも関わるところです。
今後は法制審議会の議論に注意し、使いよい条文になるよう意見していく必要がありますね。
司法書士には青年会といって、若手の司法書士で構成する任意団体があります。静岡にも静岡県青年司法書士協議会があり、毎日活発に勉強会を行っています。
その東部地区の本年のテーマは「民法改正」です。
法務大臣は、諮問第88号で、民法債権法の分野について数年後の改正を目指し法制審議会で議論するよう付託しました。
法務省は、民法の中でも当面は債権法の分野のみ改正を検討するようなので、東部地区の勉強会も、債権法の分野のみに的を絞り勉強をしていく予定です。
さて、債権法の中に「和解」という章があります。当然、「和解」についても、検討対象になっています。私たち”ふらっと”が行う当事者間の合意も、この和解契約が下敷きになっているわけです。
”ふらっと”でもそうですが、私たちの司法書士業務においても、紛争が終結したときは、当事者間で行われた合意を書面にします。
私たちは、学者でなく実務家なので、この合意=和解契約について学問的に考察し、その視点で和解案を作成することは通常ありません。主に、①紛争の蒸し返し防止、②合意内容の実現を望んで契約します。
つまり、和解契約をすることについては、和解後の事後的な紛争防止という極めて実務上の視点しか持っていないと言っても過言ではありません。
しかし、学問の視点では、和解後への留意だけでなく、和解契約が存するための要件、つまり和解前の段階についても考察を行っています。
参考書によると、和解契約の要件は伝統的に「争いが存在すること」「互譲があること」なのだそうです。ただ、昨今はこの要件よりも当事者の合意そのものの存在や、和解の確定効を重視する学説も有力になっているようです。
今回の改正においては、和解と錯誤に関する規定として、「争いの対象となった事項に関係する事実について錯誤があった場合は、取り消すことができない」という内容の条文を新設するかどうか検討されるようです。
”蒸し返し防止”について明文を置いてはっきりさせる意図のようです。
正直、今回の勉強をするまで、和解契約について多角的に分析した学説が複数あることを知りませんでした。和解については、紛争の蒸し返し防止機能くらいしか意識したことがありませんでしたが、和解は”ふらっと”の根幹にも関わるところです。
今後は法制審議会の議論に注意し、使いよい条文になるよう意見していく必要がありますね。
2009年12月11日金曜日
非言語コミュニケーションを考える
運営委員の山田です。寒くなってきました。私には昨年産まれた子供(女の子)がいるのですが,間もなく1歳になろうとしています。この約1年間,彼女の成長を目の当たりにしてきたところですが,ここ1,2か月の間に,日本語の会話はいまだできないものの意思疎通が図れるのを実感することが多くなってきました。
(ベビーサインといった意思疎通方法もあるようですが,本は買ったものの断念!)
たとえば,彼女が手に持ったテレビのリモコンを①「ちょうだい」といって,②手を差し伸べる,そうすると,これまではリモコンを離すことはなかったのですが,今は何やら叫んで,手渡してくれます。
彼女は①を理解したのか,②でこちらの意図を理解したのか,①②を併せて理解したのか,判然としません(単なる反射ということはさすがにないとは思いますが・・(笑))が,結果として意思疎通が図れたのだと思います。
前回は外国の方との非言語コミュニケーションについて取り上げましたが,子どもとのコミュニケーションもこうして考えてみると,なにか,気付かせてくれる点があるのではないかと思います。
(ベビーサインといった意思疎通方法もあるようですが,本は買ったものの断念!)
たとえば,彼女が手に持ったテレビのリモコンを①「ちょうだい」といって,②手を差し伸べる,そうすると,これまではリモコンを離すことはなかったのですが,今は何やら叫んで,手渡してくれます。
彼女は①を理解したのか,②でこちらの意図を理解したのか,①②を併せて理解したのか,判然としません(単なる反射ということはさすがにないとは思いますが・・(笑))が,結果として意思疎通が図れたのだと思います。
前回は外国の方との非言語コミュニケーションについて取り上げましたが,子どもとのコミュニケーションもこうして考えてみると,なにか,気付かせてくれる点があるのではないかと思います。
2009年11月25日水曜日
ありがとうございます
こんにちは、運営委員の鈴木です。
最近、めっきり寒くなりましたね。
こたつが恋しい季節です。
いきなりですが、
ふらっとのブログの右側に、読者になるという欄がありますよね。
今まで、読者はいなかったと思うのですが、
さきほど見たら、読者が一人増えていました!
祝・読者第一号ですね♪
詠時さん、どうもありがとうございます。
これからも、市民の皆様に、読んで頂けるような、ブログを目指して、
運営委員一同、頑張ります!
宜しくお願い致します。
最近、めっきり寒くなりましたね。
こたつが恋しい季節です。
いきなりですが、
ふらっとのブログの右側に、読者になるという欄がありますよね。
今まで、読者はいなかったと思うのですが、
さきほど見たら、読者が一人増えていました!
祝・読者第一号ですね♪
詠時さん、どうもありがとうございます。
これからも、市民の皆様に、読んで頂けるような、ブログを目指して、
運営委員一同、頑張ります!
宜しくお願い致します。
2009年11月20日金曜日
ケースマネージャーの役割
運営委員の池谷です。この度ふらっと1号のケースマネージャーを担当したことから、今回はケースマネージャー(事件管理者)について書こうと思います。
ケースマネージャーは、調停の申し込み受付、相手方への連絡、期日の設定、場所の設定、書類の管理など、メディエーションの入り口から出口までを担当する重要な役割を担います。
ケースマネージャーにとって最初の大仕事が相手方への連絡です。相手方は、申込人との紛争について怒り、不満、不安などを抱えているはずです。そんな中で「何で自分が出ていかなければならないのか」「仕事が忙しくて行ってられないよ」とかの否定的な発言や、「この調停をやって本当に解決できるの?」「裁判所の調停とどう違うの?」とかの調停に対する疑問の発言などが出てきます。それでも話し合うことのメリット、調停の中立公正性、相手との関係修復を図れることなどを懇切丁寧に説明しながら、参加を促します。参加の回答をもらって調停の場に出てきてもらえれば、調停の半分は成功したと言えるかも知れません。
かつて受講した研修の中で、ケースマネージャーが調停の中で見据える重要な視点は何かと問われたことがありました。それは「紛争解決」ではなく「当事者支援」だということでした。当事者が現状で抱えている問題、課題を把握したり、当事者が相手のことをどう思っているのかを知ることが大切だということでした。
また、ケースマネージャーが陥りやすい罠として、「転移」(利用者がケースマネージャーに依存してしまう)や「逆転移」(利用者にのめりこんでしまう。調停を押し付けてしまう。)も警告しています。
ケースマネージャーは調停全体を通して、当事者と直に接する重要なポジションにいます。先日、事件管理者・法令研修会が行われましたが、この研修で単位を取得し、名簿登載する若手の司法書士がいよいよ実務を担当することになります。これまでの研修で蓄えた知識や技法をいよいよ発揮する時が来ます。一人でも多くの司法書士がケースマネージャーの仕事ができることを期待します。
ケースマネージャーは、調停の申し込み受付、相手方への連絡、期日の設定、場所の設定、書類の管理など、メディエーションの入り口から出口までを担当する重要な役割を担います。
ケースマネージャーにとって最初の大仕事が相手方への連絡です。相手方は、申込人との紛争について怒り、不満、不安などを抱えているはずです。そんな中で「何で自分が出ていかなければならないのか」「仕事が忙しくて行ってられないよ」とかの否定的な発言や、「この調停をやって本当に解決できるの?」「裁判所の調停とどう違うの?」とかの調停に対する疑問の発言などが出てきます。それでも話し合うことのメリット、調停の中立公正性、相手との関係修復を図れることなどを懇切丁寧に説明しながら、参加を促します。参加の回答をもらって調停の場に出てきてもらえれば、調停の半分は成功したと言えるかも知れません。
かつて受講した研修の中で、ケースマネージャーが調停の中で見据える重要な視点は何かと問われたことがありました。それは「紛争解決」ではなく「当事者支援」だということでした。当事者が現状で抱えている問題、課題を把握したり、当事者が相手のことをどう思っているのかを知ることが大切だということでした。
また、ケースマネージャーが陥りやすい罠として、「転移」(利用者がケースマネージャーに依存してしまう)や「逆転移」(利用者にのめりこんでしまう。調停を押し付けてしまう。)も警告しています。
ケースマネージャーは調停全体を通して、当事者と直に接する重要なポジションにいます。先日、事件管理者・法令研修会が行われましたが、この研修で単位を取得し、名簿登載する若手の司法書士がいよいよ実務を担当することになります。これまでの研修で蓄えた知識や技法をいよいよ発揮する時が来ます。一人でも多くの司法書士がケースマネージャーの仕事ができることを期待します。
2009年11月10日火曜日
紛争を解決する手段としての「ふらっと」のメリットは?Vol.3
センター長の小澤と申します。ようこそ「ふらっと」のブログへ。運営委員の皆様、全員筆が早いようで、もう三巡目でございます。
さて、本題の続きです。「貸したお金を返せ!」という訴訟の場合、受任した司法書士としては、主として次の点に注意を向ける・・・・とうのが前回のお話でした。
1.誰に、いつ、いくら貸したのか。
2.どのような事情で貸すことになったのか。
3.借用書はあるのか。
4.相手方の資産はあるのか。
そして、究極的には、4に力点を置くことが多数であろう・・・ということでありました。
司法書士「大体の事情は把握できました。ところで、相手方にはどのような資産があるかご存知でしょうか?」
相談者「多分、ほとんど無いと思います。」
司法書士「相手方がお住いのところは、持ち家でしょうか?」
相談者「いえ、賃貸アパートです。」
司法書士「そうですか。それでは、勤務先はご存知でしょうか?」
相談者「いえ、知りません。以前の勤務先は辞めてしまったようです。」
司法書士「そうですか。その他に相手方の経済状況についてお知りになっていることはありますか?」相談者「いえ、よく知りません。」
この後、費用対効果(端的に申し上げれば、裁判手続をとった後の回収の可能性などについて)の説明をすることになるでしょう。そして、それを聞き、正式な依頼を断念する・・・という相談者は少なくないと考えられます。
しかし、上記2について力点を置いて考えてみることによって、相手方の任意の履行(つまり、相手方の自発的な返済)が期待できるのでれば、裁判→強制執行という方法に拘ることなく、相談者の期待に沿えることが出来るかもしれません。
もちろん、裁判による一括請求を求めるのではなく、民事調停によって、相手方の経済的事情に配慮した分割返済を求めることによって解決が図られる場合もありましょうし、司法書士を代理人として相手方と交渉してもらい、分割返済の和解をするという場合もあると思います。
続く・・・
さて、本題の続きです。「貸したお金を返せ!」という訴訟の場合、受任した司法書士としては、主として次の点に注意を向ける・・・・とうのが前回のお話でした。
1.誰に、いつ、いくら貸したのか。
2.どのような事情で貸すことになったのか。
3.借用書はあるのか。
4.相手方の資産はあるのか。
そして、究極的には、4に力点を置くことが多数であろう・・・ということでありました。
司法書士「大体の事情は把握できました。ところで、相手方にはどのような資産があるかご存知でしょうか?」
相談者「多分、ほとんど無いと思います。」
司法書士「相手方がお住いのところは、持ち家でしょうか?」
相談者「いえ、賃貸アパートです。」
司法書士「そうですか。それでは、勤務先はご存知でしょうか?」
相談者「いえ、知りません。以前の勤務先は辞めてしまったようです。」
司法書士「そうですか。その他に相手方の経済状況についてお知りになっていることはありますか?」相談者「いえ、よく知りません。」
この後、費用対効果(端的に申し上げれば、裁判手続をとった後の回収の可能性などについて)の説明をすることになるでしょう。そして、それを聞き、正式な依頼を断念する・・・という相談者は少なくないと考えられます。
しかし、上記2について力点を置いて考えてみることによって、相手方の任意の履行(つまり、相手方の自発的な返済)が期待できるのでれば、裁判→強制執行という方法に拘ることなく、相談者の期待に沿えることが出来るかもしれません。
もちろん、裁判による一括請求を求めるのではなく、民事調停によって、相手方の経済的事情に配慮した分割返済を求めることによって解決が図られる場合もありましょうし、司法書士を代理人として相手方と交渉してもらい、分割返済の和解をするという場合もあると思います。
続く・・・
2009年11月9日月曜日
新しい紛争解決~「ふらっと」ADR体験講座~
みなさん、こんにちは。
事務長の芝です!寒くなってきました。
冬が苦手なので辛い季節の到来です。
さて、先週の土日にNACS静岡さんにお招きを受け、
副センター長名波と芝で表題講座の講師をつとめてきました!
写真は熱弁をふるう名波副センター長です。
NACS静岡(日本消費者アドバイザーコンサルタント協会 静岡支社)は
法テラスの方、消費生活センターの相談員の方、会社員の方等々、
さまざまな方々で構成されています。
みなさんに共通するのは、エネルギーが溢れていて、好奇心旺盛で、
はつらつと していること!
積極的に参加してくださり、私たちも楽しく2日間過ごすことが出来ました。
NACS静岡のみなさん、ありがとうございました。
ふらっとでは随時出張講座を行っています。
内容は要望に合わせて打ち合わせを致します。
ADR、ふらっとの「話し合い」に関する講座はもちろんのこと、
コミュニケーションに関する講座、企業の社員教育、新人教育等も
お受けしています。
お気軽に054-282-8741までお問い合わせください!
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