2009年7月1日水曜日

熱を解かせ!

運営委員の井上尚人です。
今日は「緊張をほぐすこと」「怒りを冷ますこと」について、お話ししようと思います。

私たちは、調停についての勉強会を月に1回くらいのペースで行っていますが、冒頭「アイスブレーク」というミニゲームを行っています。
これは、見知らぬ人との緊張をほぐしたり、逆に勉強を始める準備として参加者を暖める意味を持っています。
もちろん、運営委員同士は顔見知りなので敢えて緊張をほぐす必要はないのですが、スクール形式の研修会などに比べて、アイスブレークを行うとより活発な意見が出るようになるのです。不思議ですね。

この「緊張をほぐす」という考え方は、調停時の「クールダウン」にも通じます。

私たちが日々行う法律相談において感じるのが、相手方への不満、嫌悪、怒りです。「どうしてこちらの言い分が理解できないのか・・・」と相手方へのイライラがつのり、さらにお怒りになる方も多いです。
抱えているトラブルについて、もはや相手方と話し合うことができないまでに険悪な関係になってしまっていることも、あります。

ただ、私たち調停センターは「お互いが話し合ってトラブルを解決する」ことを目指しています。
調停当日相対した当事者の皆さんは、相手に対する嫌悪や緊張で固く、堅くなっています。怒りで熱くなっています。今まで対立していた相手を前に冷静でいろというのが無理なのかもしれません。トレーニングを重ねた私たち調停人ですら、これから始まる真剣な話し合いをいかに進めていくか緊張感をもって迎えるのですから。
このままでは、自分の考えを整理して話すことはおろか、相手の方が話していることも整理して聴き取ることは難しいですよね。

そこで、私たち調停人は、調停冒頭で時間をかけて調停のルールを説明したり、お互いの呼び名や着座位置の確認など、しっかり時間をかけて話し合いができるような環境作り、場の緊張を解きほぐすように努めています。これが「クールダウン」です。
クールダウンは、話し合いが白熱してきたときなど、意図的に休憩を取ったりして調停中も行います。

トラブルを抱えていると、どうしても「怒り」「嫌悪」「ストレス」がたまります。
でも、感情に任せた発言は話し合いを混乱させてしまいます。感情の高ぶりを廃しトラブルの原因を見つめてみると、思いのほか自分と相手を冷静に見つめることができるものです。

熱を冷まし、緊張を解くこと、「熱を解かせ!」でした。

1 件のコメント:

  1. なるほど~。
    初めての出会いにはクールダウンの
    意味合いとある意味ではアイスブレ
    ークの意味合いがあったのですね!

    こうやって改めて書かれると気づくことも
    多いですねぇ。
    いい気づきをいただきました!!

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