2013年1月28日月曜日

駒形どぜうの心意気

                 
 学生時代の友達に誘われて、東京浅草の駒形どぜうに行ったことがある。久しぶりの再会と 東京下町浅草で有名などぜうを味わう期待で私はかなり興奮していた。

   浅草の門前からぷらぷらと歩き、賑わう町並みをはずれたあたりに煌々と風情ある明かりが見えてきた。ん~、一階は、畳敷きの大広間にもう何組も座っている。2階には、机のお席もございますとの誘いに、階段を上がり、畳の部屋に
椅子のある広間に案内された。江戸情緒たっぷりだねえともう江戸っ子になった気分で、もうご機嫌でぇ。どぜうの唐揚げ、玉葱の甘酢漬け、だだ茶豆、厚焼き卵、どぜう鍋を注文した。近況を報告し、ほろ酔い加減になったところで「どぜう鍋には生卵が欲しいね」と、高校卒業したてとみえる初々しい仲居さんに、「生卵2個とついでに京都伏見の冷や酒を・・」と、頼んだ。

 どぜう鍋はぐつぐつと煮えたぎり、生卵を待ちわびていると、「はい、おまちどおさま~まずはおひとつ」と、先の若い仲居さんが柳川鍋をひとつ持ってきた。「え~と、柳川・・?卵・・?~」と困惑する私達を見て、ベテランとおぼしき仲居さんがそろそろとやってきた。その後の会話。                        
 仲居さん           「ご注文が間違っておりましたか?」                  
私達                   「柳川ではなく生卵を2個頼みましたが、、、せっかくなので、いただきます。」
仲居さん            「申し訳ないです。」                          
再び仲居さん    「ご注文の聞き間違いでご迷惑をおかけしました。柳川鍋の料金は生卵の料
                            金とさせていただきますの   で、、申し訳ありません。柳川鍋はお一つでよろ
                             しいでしょうか?」                                  
私達                   「はい、食べきれませんからね。」                          

    生卵150円、柳川鍋1,500円。注文を間違えた初々しい仲居さんは、後で叱られるのかな。生卵の料金で柳川鍋を頂くのは、なんだか得した気分だけれど、居心地がよくないし楽しくない。結局、この件に関して、私達は、生卵ではなく柳川鍋一人前の料金を支払うことを提案し、困惑顔の仲居さんは、一旦奥に戻ってから、お詫びとあわせて私達の提案を受け入れた。 

 かっこつけちゃったかな~と、どぜうの香ばしい香りとさわやかな気分に包まれて、私達は老舗の暖簾を後にした。意地を張りながらもお互いに寛容になれるひとときをありがとう。どぜうに再会!

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