2019年10月24日木曜日

古事記から「大国主命」


天武天皇の命で舎人の稗田阿礼(ひだのあれい)と太安万侶(おおのやすまろ)が完成させた古事記は、全3巻から成り、第1巻は「建国の経緯」、第2巻は「神武天皇から応神天皇までの歴史、そして、第3巻は「仁徳天皇から推古天皇までの歴史が綴られています。
同時期に編纂された歴史書「日本書紀」とは違い、古事記は物語として書かれているところが興味深く、楽しめる内容となっています。
 では、「大国主(オホクニヌシ)」についての話の一部分をご紹介します。ご存じの方も多いと思いますが、大国主と言えば「因幡の素兎(シロウサギ)」の話が有名です。
大国主は、建速須佐之男命(タテハヤスサノオノミコト)と櫛名田比売(クシナダヒメ)の6代後の子孫として誕生しました。つまりスサノオの末裔という訳ですが、大国主の正妻はスサノオの娘である須勢理毘売(スセリビメ)なんです。スサノオは、神とはいえ何年生きているのだと考えさせられますし、大国主は、先祖の娘を嫁にするなんて何という近親相姦なのだ、いったい何歳同士の結婚なのだと思われるでしょうが、あくまで神話ですから心広く捉えるしかないのでしょう。
さて、大国主には多くの兄神たち八十神(ヤソガミ)がいました。それら神々が、美人で名高い八上比売(ヤガミヒメ)に求婚しようと因幡に向かった時、末弟の大国主は荷物持ちとして同道させられていました。途中、通りかかった大国主が、泣き伏せている素兎に出会い、事情を尋ねると、「私は隠岐からここに渡るため和邇(ワニ・鮫のこと)を騙して並ばせて、その上を踏んで渡ったが、最後に嘘がばれて毛皮を剥がされた。そこで八十神に海水で沐浴せよと言われ、このように皮が裂け泣いている。」と泣きながら告げた。大国主は「真水で身体を洗い、蒲の花を敷いた上で転がれば治るだろう。」と教え、素兎は元の姿に戻ることができました。このとき、素兎は大国主に「八十神ではなく、貴方が八上比売を得るだろう。」と予言しました。実は、この素兎は八上比売の使い神だったのです。素兎の予言どおり八上比売は、八十神の求婚をことごとく断り、大国主を選びました。そこで、怒った八十神らは、大国主を殺してしまいます。これを悲しんだ大国主の母神は、天の長老の一人である神産巣日之神(カミムツヒノカミ)に懇願し、赤貝と蛤の女神を以て大国主を蘇生させました。しかし、その後も迫害は続き、仕方無く大国主は黄泉の国に逃げ込みました。そこで、スサノオの娘である須勢理毘売(スセリビメ)と出会い、そして恋に墜ち結ばれました。そして、須勢理毘売とともに地上に戻り、黄泉の国で得たスサノオの宝物で襲い来る八十神たちを退け、国を造ったとされています。
(早川清人)

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